星空の武勇伝
一刻も早く食べさせて元気にしてやりたい。
完成したハチミツを竹筒に移し、初音の居るテントへ一気呵成に飛び込む。
「初音! はっ……ぶげぇ!!」
「二度目は流石に遠慮致せ!」
――最悪。
今度も起きていた初音は、よりにもよって下着を履き替えている真っ最中!
お陰で高速の右ストレートまでもらい、これ以上ない最悪のタイミングで入ってしまった事に懺悔していると、背後から声を掛けられた。
「お主という奴は……まぁ、よい。
それよりも、血相を変えてどうしたのじゃ?」
色々と謝罪した後に竹筒を手渡す。
不思議そうな顔で筒を開け、中を見た初音は一際大きな溜め息をつく。
「ワシを物事も知らぬ小娘と侮っておる訳でもあるまい? 以前、屋敷に居った時に食した事がある。これはヒメゴトミツバチのハチミツじゃ。
先程から聞こえておった物音は……そうか」
悟った表情を浮かべる初音。
「ああ、無毒化には成功してる。
安心して食べてく……」
「このっ……愚か者め!
一歩間違えれば死んでおったのじゃぞ!?
運良く精製できたから助かったものの、このような些事に命を懸けるなど…大馬鹿者のする事ぞ!」
折角苦労して取ってきたってのに、それを無下に怒鳴り散らすだなんて!
病人とはいえ文句のひとつでも言ってやろうとした時、怒っているはずの初音が泣いている事にようやく気づく。
これは……同じだ。
初音が自分を置いて行けと告げたのと同じ――。
俺は図らずも初音が口にした言葉と同じ意味を持つ、自分の命を軽んじる行動を取ってしまっていたのだ。
「あ……あの…俺は……」
「今日はもう下がれ。
顔も見とうないわ!」
言い訳を口ごもる顔に着替えや下着まで投げつけられ、堪らずテントから退散させられる。
はぁ、完ッ全にやらかした……。
善かれと思った行動が逆に初音を傷つけ、極度に心配させてしまうとは…。
足元で一部始終を見ていたギンレイは不安げに鼻を鳴らし、甲斐甲斐しくも俺を気遣う。
「お前も頑張ってくれてありがとうな。
そうそう、まだハチミツをあげてなかった。
ほら、たっぷりと味わってくれよ」
別の竹筒に入れておいたハチミツを皿に移すと、しきりに匂いを嗅いだ後、一口だけなめたギンレイは全身の毛を逆立たせ、ピョンピョンとジャンプしてみせた。
……どう解釈すればいいんだ?
あまりに濃厚すぎて狼の口には合わなかったのかと思われたが、跳び跳ねるのを辞めたギンレイは瞬で食べ終えてしまう。
どうやら、旨味のカロリー爆弾とも言えるハチミツに最初は驚いていたようだ。
「今夜は完全な野宿だな。
男二人で保存食と星空の下、今日の武勇伝を大いに語ろうじゃないか」
Awazonでコットを購入した俺はテントの傍らで一息つき、一晩は軽く持つであろう大量の虫除けを準備すると、焚き火でリエットを温めて夜が更けるまで愛犬と語り明かすのだった。
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ここまでのAwazonポイント収支
『ネノヒラドンコを採取――1000P』
『キョテンシメジを採取――1000P』
『イシガニモドキを採取――3000P』
『デイドモグラから逃げきった――30000P』
『ヒメゴトミツバチのハチミツを精製――80000P』
以下を購入
『登山靴――5000ポイント』
『エアーマット――4000ポイント』
『ポップアップテント――7000ポイント』
『タワシ――200ポイント』
『アウトドアコット――12000ポイント』
『各種風邪薬―10000ポイント』
『熱さまシート(4セット)――1800ポイント』
『ネックリング――2500ポイント』
『冷感タオル(4枚)――4000ポイント』
『大型タープ――10000ポイント』
『パジャマ――3000ポイント』
『折り畳み式蚊帳――5500ポイント』
『虫除け線香――1500ポイント』
『養蜂用防護服――5000ポイント』
『ニトリル手袋――1200ポイント』
『クサビ(10本)――5000ポイント』
『金工用ハンマー――1000ポイント』
『アウトドアコット――4500ポイント』
現在のAwazonポイント――382,800P