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異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp! 【 完結】  作者: ちゃりネコ
第二部 二章 新たな仲間、新たな岐路
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似た者同士の争い

「…………どうしてくれんの?」


「お、怒るほどの……ものじゃろうか…のう?」


 Awazonで補修用のガムテープを購入して、どうにかギリ使える程度にはなったものの、新品だったティピーテントは見るも無惨な姿へと成り果てていた。

 しかも、馬鹿力で雑にペグを打ち込んだので、殆どが折れ曲がって使い物にならない。

 こちらもAwazonで追加購入して事なきを得たのだが、問題はそこではないのだ。


「そろそろ許してやっちゃどうですかい?

 お嬢も悪気があったワケじゃねぇんだ。

 小さい子にありがちな背伸びをしたかっただけさ。そうだろ、お嬢――ぶごォ!」


「ちいかわ? 背伸びとか言っちゃう子にはお仕置きが必要じゃのう」


 擁護ようごした万治郎の腹筋を見事なアッパーカットでブチ抜く。

 クラスター爆弾の絨毯爆撃の如く、初音の地雷を踏みまくった彼の勇気は認めよう。


「このクソガキがぁあ上等だコラァアア!!」


 反撃に転じた万治郎はガッツリ組み合い、唐突に鬼と人間の力比べが始まった。

 鬼属きぞくの初音と互角に張り合うのも凄いけど、争っている内容は小学生と大差ないのが実に悲しい。


「はぁ~~、お前らと一緒だと一向に話が進まねー! そろそろ夕食だってのに、食材の調達もまだなんだぞ!」


「ウソじゃろ!?

 お主…宿を出る時に色々準備しておったろ!

 何故なぜに食べる物がないんじゃ!」


 猛然と抗議を口にされても困る。

 持ってきた食料は米と調味料が主で、主菜となる物は現地の名産品や名物で補うつもりだったのだ。

 しかし、周囲には宿どころか民家すら見当たらず、店買いなど望むべくもない。


「今夜はオニギリでも――ん? ギンレイ!

 今までどこに…お、おぉ!?」


 テント設営の少し前から姿を見せなかった愛犬は帰ってくるなり、自分よりふた回りも大きな鳥を引きずっていた。

『異世界の歩き方』によればオワセヤマドリという名の野鳥で、体は鮮やかなコバルトブルーの羽毛に被われ、翼から尾羽まで空色に染まった美しい羽が目を引く。

 体長と同じ長さの尾羽は艶やかに輝き、思わず見惚れてしまう芸術品のようだ。

 そして、肝心の味は――絶品と記載されている!


「うぉぉおおい! よくやった!

 流石はワシ自慢の弟なり!」


「やるじゃねーか犬っころ!

 それにしたって自称姉のダメさ加減はよぉ。

 お陰で犬小屋みてぇなとこで寝るハメんなったのは、全部お前のせいだからな?」


 ようやく収まったハズの喧嘩けんかは、女媧ジョカ様の仲裁が入るまで続いたのは言うまでもない。


「マジに頭が痛くなってきた…」


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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