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異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp! 【 完結】  作者: ちゃりネコ
第二部 二章 新たな仲間、新たな岐路
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決定的な一撃!

「あしな…あしな…!

 お鈴が…お江が目を覚まさぬ!

 ギンレイまでもが……。

 まさか…まさか……ワシ、どうすれば…!」


「まずは落ち着くんだ。

 さっきのは傷つける為の武器じゃない。

 皆は一時的に気を失ってるだけだから安心してくれ! 今は…コイツを抑えるのが最優先だ!」


 マズい…初音まで想定外の事態にパニックを起こしかけている。

 万治郎が戦線を離れ、ギンレイは失神している。

 愚連隊も殆どが宿の外まで逃げ出し、女媧ジョカ様まで消えてしまった。

 ここで最後の戦力である初音までパニックに陥ったら…。


「さぁ~て、どうするね?

 旦那も尻尾巻いて逃げ――」


 最後まで言わせるつもりはない。

 俺はゆっくりと立ち上がると、未だ閃光手榴弾フラッシュバンの影響が残る頭を振り、落ちていた刺股さすまたを拾う。

 対峙する意思を明確に示すと、ゴえもんは嬉しそうに口元を歪めた。


「結構、そうでなきゃ~なぁ♪」


「アンタ、俺と同じ世界から来たんだろ。

 何が目的だ? バギーが欲しけりゃくれてやっても良かったけど、森田屋の人達を巻き込んだのは許せねぇよ!」


 くるくるとサングラスを回しながら、どこかおどけた表情でゴえもんは事も無げに言い放つ。


「おいおい、巻き込んだのは旦那の方だろ?

 人のせいにしちゃ~いけね…」


 刺股さすまたくうを切る!

 いい加減頭にきていた俺は内心の図星を突かれ、強引に相手の口を塞ごうと攻撃を繰り出す。

 長柄のリーチを活かして次々と刺突を行うが、巧みな体術を持つゴえもんにはかすりもせず、攻撃の合間に差し込まれる反撃を容易く受けてしまう。


「あ、あしな! ワシも…」


「来るな! 作戦は変わっちゃいない…。

 お前はいつでも飛び出せるようにしておいてくれ」


 僅かな攻防で俺が受けた打撃は4つ。

 対して大泥棒サマは余裕の表情だ。

 折れ曲がった鼻を無理矢理もとの位置に戻し、流れ落ちる汗をシャツの肩口で拭う。


「いいか、チャンスは一度っきりだぞ。

 合図したら……遠慮なくブチかましてやれ!」


「Awazonもなしに何が出来るんで?

 コレがなきゃ~旦那はフツ~の若造さ」


 これ見よがしに奪ったスマホをもてあそび、再び挑発するゴえもん。

 いや、むしろ指摘に近いのかもしれない。


「全くもってその通りだと、自分でも思うよ。

 けどな、俺だって異世界に来てから多少は成長してるんだ。それをアンタに見せてやる!」


 恐怖で震える足を鼓舞すると一気に距離を詰め、反撃を承知で部屋の角へと追い込んでいく。

 三日月状に湾曲した刺股さすまたの先端でゴえもんの胴体を捉えるべく、渾身こんしんの一撃を打ち出した瞬間、自分の意思とは無関係に体が宙を一回転する感覚を味わう。

 相手の勢いを利用して倒す合気道。

 万治郎が受けたのと同じ技で俺も吹っ飛ばされ、なすすべもなく足元に転がされる。


「はーい、ざんねーん。

 学習能力が足りてなぁ……に!?」


 終始に渡って余裕の表情を浮かべていた隈取くまどりに沿って、一筋の汗が流れ落ちる。

 軽やかだった両足は突然の重力に縛られ、降り掛かった不測の重みを支える為に、持ち得る全ての筋力を総動員させていた。


「おやおや、随分とまぁ――()()()()()()?」


 ダメージ覚悟で角に追い詰めたのは、刺股さすまたで拘束する為ではない。

 仰向けに倒れた俺の手に握られていたのは、飯綱いずなに借りた何でも入る不思議なガマ口。

 空中で()()()()()バギーは狙い通り、奴の頭上に出現すると100kgに及ぶ重量で押し潰す!

 バギーが消えたのはスマホで操作したのではなく、俺が自分でガマ口に収納したのだ。

 少しでも異常を感じた場合、盗まれるのを予防する為に!

 それでも、こんな手段で使おうとは思っておらず、上手くいくかどうかの保証なんて全くなかった。


「今だ! やれ、初音ぇえええ!!」


「安心せい、骨は拾ってやるわ!」


 既に準備を整えていた初音はクラウチングスタートを思わせる姿勢のまま、尋常じんじょうではない速度で突っ込む。

 まともに喰らえば――大事故確定だ。

 だが、文字通り余裕をかなぐり捨てたゴえもんは、驚異的な腕力でバギーを引き倒し、一瞬早く離脱の動きを見せる。


「じょ、冗談じゃ……コイツ!」


 奴が逃れるよりも早く、最後の力を振り絞って足にしがみつく。


「忠告しといてやる。

 アイツの体当たりは…メチャクチャいてぇぞ?」


 直後、背中に受けた衝撃は言葉などでは到底表現できず、脳内イメージは暴走ダンプカーのき逃げが思い浮かぶ

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