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異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp! 【 完結】  作者: ちゃりネコ
第一部 一章 遭難と書いてソロキャンと読もう!
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サバイバル生活を安定させよう!

「うわぁ、やっぱここは涼しいな」


 ホームと呼んでいる岩の裂け目は山から染みだした水や風雨が気の遠くなるような時間をかけ、石灰岩を少しずつ侵食して出来上がった物で、今もあちこちから水が滴っている。

 その為、気温が上昇してきた午後であっても気化熱によって、裂け目の中は一定の温度を保っているようだ。


「逆に言えば冬は……いや、今は考えないようにしよう」


 背負っていた竹やバッグのタケノコと水の入ったポリタンクを地面に置くと、まずはホーム内の整理整頓から手をつける。

 ポリタンクの水は飲み水用と灰汁を入れた手洗い用に分け、いつでも補充できるように入り口に配置した。

 そして、焚き火跡には河原で拾った石を追加してアップグレードさせ、更にクオリティを上げる為に竹を使った工作を開始する。

 竹を切り出した時に縛ったつる、名前をツルムシと言い、ちょっと手を加えると簡易ロープに姿を変える優れ物。

 まずは全ての葉を落とした後に表皮を剥ぎ、茎の太さを2本に揃えて選り分ける。

 そして、端を固結びにして足で挟み、両手で2本の茎を交互に縒り合わせていく。

 追加する際は交差する点に巻き込んで更に長くする。


「これだけで立派なロープの完成!

 後は3本の竹を交差させて頂点をロープで結べばトライポッドの出来上がり!

 我ながら中々の手際だと誉めてやりたいよ」


 残ったロープでダッチオーブンを吊るせば温度調節も可能、これで生活レベルがまた一つ向上した。

 食は生活の基礎となる部分。

 だから機能や衛生面には重点的に時間や気を使おうと思う。

 食が充実すれば厳しいサバイバルでも活力となり、生きる気力に繋がっていく。

 逆に衛生面を疎かにすれば、他の部分がどれだけ充実していてもアッサリと体調を崩し、場合によっては命に関わるのだ。

 アウトドアでは両者のバランスを取りながら、常に意識しなければならない。


「さあ、次の仕事だ!」


 俺は再度気合いを入れるとスマホから『異世界の歩き方』を呼び出し、いくつかの植物について調査を始めた。

 探しているのは虫除けに役立つハーブ類について。

 この世界に来てからというもの、虫食いの被害が絶えず、悩みの種となっていたからだ。

 目次欄から簡単なワード検索で何件かヒットした、どうやら今まで何度か見かけていた花や草がそうらしい。


「雑草だと思ってたけど、調べてみると有用な物でした~なんて事は案外多いもんだな」


 料理の香り付けやスパイスにもなる上に、生命力が強いので育てる手間まで省けるとは実に助かる。

 早速とばかりにホームの近辺や河原を探してみると、本当にどこにでも群生しており、しかも種類まで豊富に存在するみたいだ。

 試しに顔を近付けると、どれも小さな花だが強い香りを放ち、上手く活用すれば岩塩を使っただけの味付けから脱却できそうな予感がする。

 色彩豊かな花は気が滅入りがちな遭難ソロキャン生活に彩りを添えてくれるだろう、せっせと行き来しながら様々なハーブをホームの入り口付近へと移し替える。

 殺風景に口を開けていた岩の裂け目は装いを新たに、少しずつだが形を変えていった。

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