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異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp! 【 完結】  作者: ちゃりネコ
第二部 一章 この人数でもソロキャンと言いきる勇気編
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白熱のレース展開、序盤のリードを決めろ!

 爆音を響かせてスタートダッシュを決める!


「いくら異世界の馬でも、内燃機関を備えたバギーには――なにぃ!?」


「思ったより速ぇじゃねぇか!

 だがなぁ、当方の馬威駆バイクに勝てる奴ぁこの世に存在しねぇ!」


 六本足を巧みに操る異世界馬は200ccのバギーを抜き去り、一息で先頭におどり出た!

 力強く大地を蹴る音が響き、万治郎を応援する観客から大歓声が巻き起こる。


「直線だと力負けするってのか!? マズい…このままリードを許すのは絶対にマズい!」


 町の南端からスタートしたコースは、次の通過地点が800m先の北端に位置する浦田橋に設定されており、そこまでは目立った障害物やショートカットできそうな場所もない。

 長い直線で差をつけられれば、後々まで尾を引くのは目に見えている。


「はっはー! 当方不敗は伊達じゃねぇ!

 このまま一気に……な、ああああ!!」


 万治郎が駆る馬が、路面を捉えきれずに横滑りしている!

 危うく転倒は免れたものの、減速を余儀よぎなくされた馬の後方に追いつく。


「石畳に油をいてやがる!

 本当に殺す気かよ!」


 マップに記載されていなかった情報とはいえ、最初から『何でもあり』と言われて警戒しないはずがない。

 このレース、勝敗の鍵は速度を緩めない度胸と、予想を超える事態への対応力とみた!


「悪路ならバギーの方が有利!」


 四輪を活かした小さな車体が馬の脇を抜け、一瞬で逆転すると観客からドヨメキが上り、次いで拍手喝采の嵐が沸き起こる。


「やるじゃねぇか…」


 背後から感じる万治郎の闘志が強まっていく。

 直線をリードした状態で走り抜け、通過地点である浦田橋を視界に捉える。

 しかし――。


「橋が封鎖されてるだと!?

 おいおい、どうやって渡れば…」


あめぇな!

 馬戯異バギイのお株を頂戴するぜ!」


 万治郎は通りから馬を跳躍させると、そのまま五十鈴いすず川を渡河して橋の逆側から回り込むつもりだ!

 一手遅れた俺も浅瀬から川を渡ろうとするが、向こうは流石に地元民なだけあって地形を熟知しており、最短ルートを迷いなく選択して先頭を奪う。


「クッソ! まだ一つ目の通過地点だ。

 勝負は始まったばかり…焦るなよ、葦拿あしな!」


 リードを許した事に動じない為、自分に言い聞かせて冷静な思考を保つ。

 橋の通過地点を通ると同時に封鎖は解かれ、そのまま町の北西に位置する見世物小屋を目指す。

 だが、万治郎にかなり離されてしまい、観客からヤジを飛ばされてしまう。

 どうにか逆転の機会チャンス見出みいださなくては…。


「あれは……けど、今は迷ってる場合じゃない!

 突っ込めやぁあああ!!」


 それが視界に入った瞬間、脳内スイッチが警笛を鳴らし、第六感が機会チャンス到来を告げる。

 俺はクラクションを鳴らして観客を散らせ、目の前にあった仕切られた柵を強引にブチ破り、開いていた寺の門へと飛び込む。

 慶光院けいこういんという寺社の境内を疾走すると思った通り、殆ど障害物もなくスムーズなショートカットを果たした!

 途中、カンッカンにブチ切れた住職と思わしき人物に呪詛じゅそを吐かれたが、今はそんな事を気にしている場合ではない。


「罰なら後で当ててくれ!

 つーか、これ以上の呪縛デバフは要らん!」


 裏手口の柵も突破すると、我ながら完璧な方向感覚で見世物小屋の裏手に回り込む。


「て、手前ぇ!

 どこから湧いて……とんでもねぇ野郎だな。

 喜べよ…当方が認めてやらぁ。

 手前ぇは()()()じゃねぇ!」


「そりゃどーも。

 なんせ不死身なもんでね」


 肩に折れた柵が突き刺さっていたが、構わず第二の通過地点を先取する!

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