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異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp! 【 完結】  作者: ちゃりネコ
第二部 一章 この人数でもソロキャンと言いきる勇気編
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奥手な背中にドロップキック!

 自称・超絶美女のくだりをピンポイントで無視スルーした俺は改めて前回のキャンプで得た物と、今後のやるべき事を思い返す。


 まずはスマホアプリAwazonだな。

 異世界に飛ばされた直後からスマホにインストールされていた謎のアプリなのだが、当初はぶっちゃけ偽アプリだと思って警戒していた。

 しかし、フタを開けてみればポイントに応じて好きなだけアイテムを取り出せるチートアプリだと判明。

 開封系YouTuber垂涎の機能を持ち、何の特技もない俺が異世界で生きてこられたのも、Awazonによる恩恵が非常に大きい。


 続いて同じくスマホアプリ『異世界の歩き方』

 アプリを開くと百科事典のような本が現れ、異世界に関する様々な事柄を調べられる便利アイテム。

 これらのアプリは当然、元の世界には存在しない超常のモノ。

 未だ謎に包まれた現象を解明する為、未来人の飯綱いずなに色々と聞きたい事があったのだが――。


「うるっせェなぁ! アタシは質問されンのがキライって言っただろーが!」


 このていたらくである。

 未来の人間が全員()()()()()だとするなら、人類の未来は世紀末同然なのだろう。

 他には、水に浸けると際限なく炭酸ガスを生み出す発泡石や、麹菌こうじきんを使って爆速で食品を変化させる発酵石などがある。


「他にもAwazonで買った品物は……殆どが破損して使い物にならないか」


 断っておくと、購入した物は不良品だから壊れたのではない。

 後をつけていた正体不明のクノイチによって俺は谷底に叩き落とされ、その際に殆どのの品物が破損してしまったのだ。


「あれから体調はどうなんじゃ?

 その……随分と怪我をしておったからのう」


「あぁ、問題ないよ……ありがとな」


 初音が珍しく気遣きづかってくれたのは無理もない話だ。

 何故なら――普通の人間が高さ数十mもある谷に落ちて、無事でいられるワケがない。

 万が一の場合、奇跡的に木の枝などに引っ掛かれば助かるかもしれないが……。

 俺はそのままダイレクトに地面へ激突したのに、かすり傷ひとつ負わなかった。

 しかも、その後に熊でさえ死に至る猛毒を受け、何度も刃物で刺されたのに、今もピンピンで生きているだなんて――説明がつかない…。


「……問題ないとか……ターミネーターかよ」


 刺し傷からは血も出ておらず、体に開いた穴も次の日には全て塞がっていた。

 どちらかと言えばT-1000に近いか?

 どう考えても()()()ではない。

 そんな自嘲じちょう気味な思考に囚われていると、不意に安らぎに満ちた声が脳内に響く。


『なにも問題ないわ。

 君が生きているという事に違いはないから…』


「え……あ、ありがとう…ございます…女媧ジョカ様…」


 御礼と共に、全力で頭まで下げてしまう。

 これまで彼女に対して随分と誤解していた事もあり、すっかり低姿勢で接するようになっていた。

 自分でも顔が赤くなっていくのを感じていた最中さなか、えらく不機嫌そうな初音と目が合う。


「あー、どう…されたんすか?

 なんだが…すこーし御機嫌が――」


「知らん!」


 さっきまで俺を気遣ってくれてたやん……。

 ぷくっと頬を膨らませた初音は、そのままギンレイを連れてホームの外へと出ていってしまった。


「移りゆく 秋の空より 子供心かな」


 四万十 葦拿あしな渾身こんしんの一句もむなしい風に吹かれ、呆然と夜空を見上げていた時、頭上から全体重を掛けた強烈な蹴りを背中に受け、顔面から地面に激突する。


「ボケッとしてンじゃねェ!

 さっさと追っかけろよ種無し!」


「ほんっっっっと、このバカ女は…ありがとうよ」


 文字通り強引に背中を押してくれた飯綱いずなへ礼を言い残し、真っ暗闇の中を走り出した。

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