巨大ナマズの調理方法とは?
沈みゆく太陽を背に、力強い言葉が胸を打つ。
お前を信じる、とか真顔で言うとはねぇ。
……本当に参った。
こうなると、相手を値踏みして真実を話さなかった俺の立つ瀬がないじゃないか。
――そんなのダサすぎだろ…。
「俺を怒らないんですか?
貴方を騙していたも同然の俺を」
「もしも、姫様を誑かしていたなら即座に首を斬っていた。だが、そうではないと分かったのなら当方の感情だけで沙汰は下せぬ」
どこまでも初音ファーストの考えとは恐れ入った。
なるほど。
これが日ノ本武士という生き方か…。
「ふむ、双方の蟠りも綺麗さっぱりとしたようで重畳の至りじゃ。ところでのう、そろそろ穴堀と夕餉の関係について教えてくれぬか?」
空腹に耐えかねた初音が別の理由を尋ねる。
確かにコレが料理の工程とは思えないもんな。
「あぁ、済まない。
これだけ大きな魚を調理するなら丸ごと蒸し焼きにするしかないって考えたんだ」
かつては世界中の様々な地域で行われていた古来の調理方法『アースオーブン』は、熱した石や火山地域の地熱を利用して食材を蒸し焼きにする。
今回は都合よく地面が砂利だったので、このまま穴の中で焚き火をした後、ツチナマズを埋めれば準備完了だ。
「石を暖めてる間にナマズの処理をしとくよ。
それと…あのスープ? なんだけど……」
「うむ、ワシの自信作じゃ!
存分に食すがよいぞ!」
あれを?
いやいや、完食のハードル高いって!
人の作った物にケチをつけるようで申し訳ないけど、ナマズ三匹を丸々煮込んだだけの半固体状スープ擬きがどんな味なのか想像もつかない。
けど、初音が初めて作った料理なんだし、ちゃんと食べてやらないとな。
「…ダッチオーブンから禍々《まがまが》しい妖気を感じるけど……」
多分、食べても死なないだろう。……多分。
二人に火の番を頼む傍ら、巨大ツチナマズの下処理も可能な範囲で行う。
とはいえ、これだけ大きい魚ともなれば、洗うだけでも大変な重労働。
そこでAwazonで新たに購入したのが、アウトドア用簡易シャワー。
電気を使わずにポンピングでタンク内の空気を圧縮し、屋外でシャワーを浴びられるアイテムだ。
「おぉ、こりゃ楽ちんだ~♪」
通常のシャワーと比較して圧力が弱く、タンクの容量も十分とは言えないが、格段に作業が捗るのは大きなメリット。
なにより、外でシャワーが浴びれる事で洗髪も楽々になるし、もっと早く買えば良かった。
ヌメリやハラワタを処理した後、表面に等間隔で切り込みを入れて調味料やハーブ、輪切りにしたカドデバナを挟み、追加で購入したアルミホイルで全体を包む。
最後に型崩れを防ぐ金網をグルグル巻きにすれば完了なのだけど、マジに料理というよりミイラに近い見た目になってしまった。
……まぁ、食えりゃいいんだよ。
「よーし、これで下処理は終わり!」
恐ろしくクッソ重い巨大魚でも、鬼属サマの手にかかれば石ころと変わらない。
初音が穴にツチナマズを放り込んだ後は、焼けた石を上から丁寧に被せれば全ての工程は終了。
「さて、焼き上がるまでに待望の発酵石で酒を作ろうか。楽しみに待っててくれよ」
――いつぞやの礼も含めて、今夜は一杯奢ってやらないとな。
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ここまでのAwazonポイント収支
『発酵石を入手――50000P』
以下を購入
『マイクロトーチ――1600ポイント』
『爆竹――260ポイント』
『鉈――9400ポイント』
『モグラ撃退器(16個合計)――32000ポイント』
『治療キット一式――26000ポイント』
現在のAwazonポイント――272,140P




