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異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp! 【 完結】  作者: ちゃりネコ
第一部 一章 遭難と書いてソロキャンと読もう!
13/300

釣り竿と餌を用意しよう!

「なんだ…今日は疲れてるんだ。

 もう少し寝かせてくれないか…」


 夢現ゆめうつつに昔を思い出して目を開けると、そこには俺の顔をナメ回す狼の鼻先が視界を埋めていた。

 起き抜けに味わうザラついた奇妙な感覚を嫌がり、手で防いだり背けたりするが一向にやめてくれる気配がない。

 駄目だ。

 とてもではないが寝かせてもらえそうにない。


「お前のお陰で素敵な夢を見させてもらったよ…」


 しきりに長い尻尾を振る狼(犬?)の頭をでてやり、朝一番の仕事を労う。

 ふかふかの登頂部にはその名の由来になったであろう、銀白色のたてがみが背中を通って尻尾の先まで一直線に伸びている。

 どうやら、かなり回復が進んだようで子供とはいえ野生のたくましさを実感するばかりだ。


「う…あぁ! こりゃあ強烈だ。

 肩やら腰が…バッキバキじゃないか」


 2日に渡って硬い地面で直寝をした為か、全身が今にもバキバキと音を立てそうな程に不調を訴えている。

 しかし、そろそろまともな食事をしないと、いずれ限界を迎えてしまうのは明白。


「なんにせよ、今日も食い物を探さないと」


 俺は未だ後ろ足を引きずる狼を残して河原に降りていくと、Awazonを開いて通知欄を確認する。

 ポイントは17000残っていたので、その中から釣り糸と渓流針を購入した。

 合計700ポイントの出費だが、予想通りなら十分に取り返せるどころかお釣りが返ってくるだろう。


『そう、釣りだけにな!』


 本当に誰に対してなのか分からないが、自分が思っている以上に精神状態がヤバいのかもしれない。

 やはり生活を安定させる事が精神の安定にも繋がるのだろうと、妙な納得をして準備に取りかかる。


「釣りなら大得意さ。釣竿を作るのもな」


 まずは竿となる材料の確保だが、これはアテがあった。

 付近を見渡すと渓流の岸から少し上がった所にフタバブナの森が広がっている。

 その境目辺りに竹に似た植物が青々とした笹を蓄え、枝をしならせて自生していた。

 これだけあれば十分とばかりに、適切な長さとしなりを備えた良品を選び出す。


「竹はある意味、木材よりも役に立つ。

 早速だけど使わせてもらうよ」


 竹は手早く枝を払うだけで、もう竿としての機能を全て備えた完璧な素材だ。

 早速先端に釣り糸を結びつけ、釣り糸から続く道糸を電車結びで繋ぎ合わせる。

 それぞれの糸で作った2個の結び目を合体させる為、手軽だけど中々の強度で糸を繋げられるのでオススメ。


「さてさて、お次は肝心の餌だが、水に浸った河原の岩をひっくり返せば……いた!」


 ゴツゴツとした岩の下に居たのは、映画『エイリアン』に登場したフェイスハガーみたいな見た目の虫、トンボの幼虫ヤゴ。

 異世界での名前はまだ知らないが、こっちでも似たような虫がいてくれて助かる。

 こいつは簡単に見つかって簡単に採れるという点で非常に優秀な釣り餌だ。


「釣竿OK、釣り餌OK!

 よっしゃ、それじゃ久しぶりの渓流釣りだ!」


 さぁ、御膳立ては済ませた。

 俺は缶に新鮮なヤゴを詰め込み、目標の水辺へ向かって匍匐ほふく前進を開始した。

現在のAwazonポイント――16300

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