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異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp! 【 完結】  作者: ちゃりネコ
第一部 一章 遭難と書いてソロキャンと読もう!
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新たなフィールド発見!

 スマホのコンパスを頼りに南西を目指していると、周囲の空気が徐々に変わっていくのを肌で感じた。

 進むごとに動植物の気配が強まっていき、次第に森の向こうから吹く風も湿り気を帯びていく。

 そして、耳を澄ませば聞こえてくる音は……。


「やったぞ……川だ! 水だ!」


 持っていたダウンジャケットを放り投げて川辺へ走り寄り、両手ですくい上げた水は暑さを忘れさせる程に冷たい。

 淀みがない事を確認して一口飲んでみると信じられない旨さだ!

 炎天下の森を歩き続けた事で自分が思っていた以上に体が渇いていたらしい。

 本当は煮沸するべきなのだが、腹が満たされるまで存分に喉を潤してしまった。


「ああああ……旨い! こんなにも旨い水は生まれて初めて飲んだかもしれん」


 助かった…と言うのは決して誇張した表現ではないだろう。

 事実、もし水場を見つけられず森の中を彷徨さまよい続けていたら――考えただけで背筋が凍る。

 渇きが癒された事で落ち着きを取り戻し、辺りを見渡すと魚や鳥、虫や植物など多くの生き物が生息しており、食べ物となる恵みは段違いであった。


「どうにかして生活を安定させないとな」


 不安ではあったが俺にはAwazonと本の能力がある。

 この2つを活用して生き延びるしかない。

 手元のスマホからAwazonを開くと通知欄が更新され、以下のポイントが付与されている。


『ウグイストリイチゴを採取――1000ポイント』

『ミツミシソを採取――1000ポイント』

『キノモトワラビを採取――1000ポイント』

『マルハウメを採取――1000ポイント』

『水場を発見――10000ポイント!』


「よぉーし! これで合計37000ポイント貯まったぞ。これだけあれば何か買えるんじゃないか?」


 まずは調理器具にしようか、それとも風雨を避ける為のテントにしようか。

 まさに気分はネットショッピングを閲覧している感覚で、どれもこれも目移りしてしまう。

 テントと言っても千差万別、用途もオールシーズンに対応した物から冬を除いた3シーズン用も存在する。

 更には許容人数や雨水を防ぐ耐水圧、有害な紫外線から身を守るUV性能や持ち運びに関係する重量等々、挙げ出したらキリがない。

 そして肝心な御値段………全然ポイント足りねぇ……。


っっか…。こっちは命がかってんだぞ。

 もう少し…こう、手加減とかさぁ」


 キャンプギアの価格に文句を言っても仕方がないのだが、金銭という問題がどうしようもない壁としてのし掛かる。

 改めて見ると何でこんなに高いんだよ!

 キャンプを生涯の趣味とした頃からの疑問ではあったが、ここにきて死活問題にまで発展するとは思わんかった。


「ダメだ、一旦保留としよう」


 どうにも初めてキャンプギアを買い始めた頃を思い出す。

 右も左も分からなかった時は友人やショップの店員に聞きまくったなぁ。

 すっかり経験を積んだ今でも迷う事になるとは、人生ってのは分からないものだ。


「とりあえず拠点に出来そうな場所を探すか」


 新たなフィールド『河原』

 ここで俺の異世界ソロキャンが始まる。

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