3S政策ウエポン〜偶像で壊れた心は救えない〜
S次は、最低な人生を歩んでいだ。両親は不倫略奪婚。父はDV化し、母に殴ったり蹴ったりするようになった。結果、母は逃げ、残されたS次は父のサンドバックになった。
中学の時は成績もよかったが、試験結果や成績表も燃やされた。肉体的な暴力だけでなく、精神的や言葉のそれも酷かった。
家から逃げるように上京し、仕事も始めたが、中卒の男にろくな職があるわけもない。非正規雇用を転々とし、泥水を飲んでいた時だった。
ライトノベル原作のアニメに出会った。こういったエンタメは3S政策だと馬鹿にしてたが、キャラクターやストーリーの面白さにすぐにハマった。原作も入手し、これだったら自分でも書けないかと思うようになる。ライトノベル作家になれば、人と付き合わなくても身が立てられる。中卒でも可能性は一応ある。
そう考えたS次は、作品を書くようになるが、当然、素人のような出来。簡単そうに見えるものこそ実際は難しかった。イライラしてライトノベル本を壁にぶつける事もあった。
あんなに感銘を受け、救われた気分になっていたのに、イライラする。画面や紙の中は、キラキラと美しい青春や恋愛が描かれているのに、S次の現実は全く違う。逆といっていい。ギャップが酷い。心が抉られそうになる。
「は?」
しかも、S次が書いていたラノベ作品とアニメの内容に似たところがあった。これってパクリ?
許せない。自分は泥水を飲んでいるのに、アニメ制作会社やラノベ作家が光の道を歩んでいる。しかもパクリで。
なぜ、なぜ?
なぜ自分はこんなに救われないのだ?
所詮、そんなものはハリボテの偶像か。確かに良いアニメやラノベを見て救われた人もいるかも知れない。でも、それは元々心が綺麗な人だったからだ。
S次のような、どうしようもなく落ち込ぼれ、底辺を彷徨い、泥水を啜っている人間は、一体どこに救いを求めればいい? もうこんなに心は壊れていたが、何に救いを求めれば良い?
少なくともアニメやラノベではないだろう。3S政策。ハリボテの偶像。S次のような壊れた心の男には、救いよりも毒になるのかもしれない。
偶像崇拝を禁止しているのは、昔からある三大宗教か。今ならその理由はわかる気がしていた。




