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ディストピア2030〜信じるか信じないかはあなた次第〜  作者: 地野千塩


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痩せ薬が開発されました

 いくら食べても太らない。一錠飲めば痩せていく。そんな夢のような薬が開発されたらしい。


 M子はすぐに飛びついた。食べてストレス解消するのが好きだったし、医者も大丈夫だといっている。簡単に処方してくれたし、錠剤を食前に飲むだけだ。夢というより理想そのものような薬だった。


 実際な七十キロ近いM子は、するすると痩せ、二十キロも減量してしまった。


「嬉しい!」


 こんな理想的な薬があったとは。まさに夢。いや、魔法か?


 喜んでいたのは、束の間だった。薬には副作用もあり、胃痛、頭痛、腹痛が慢性的にあるだけでなく、失明のリスクもあるらしい。実際、M子の片目の視力はだいぶ落ちていた。


 慢性的な体調不良もとれず、肌や髪の調子も悪い。単に痩せているだけでは綺麗になれなかった。綺麗さというものは、頭の良さ、教養、言葉遣い、生活習慣も大いに関係があるのかもしれない。中身は外見と意外と相互関係がある。


 結局、理想のような薬はこの世にはなかったのだろう。リスクは全てのものにあるのだ。


 楽して痩せる。楽して儲ける。一週間で英語が話せる。全部詐欺だが、騙されるものは全く絶えない。それだけ人は怠惰で自分に甘いという事だろうか。


「患者ってバカだよな。便利な薬にわーっと飛びつく前に副作用もちゃんと調べろよ。まあ、まともな医者だったら、コツコツと毎日運動して、野菜食って痩せろって言うんだろうけど、それじゃ儲からんしな。即効性があるものなんて無いよ。生活習慣直せない奴がダイエット成功したり、病気治せるわけないじゃん。何で自分の生活や性格を事を改めないで、医者や薬に頼るのかね? 全部他責してるから色んなものに騙されるんだ。甘い話なんてあるわけないじゃーん」


 M子の医者は一人呟くが、こんな本音は決して患者の前では言えない。患者というよりお客様か。いや、何でも鵜呑みにしてくれる信者と言った方が良いかもしれない。


「大丈夫。夢のようなお薬を出しておきますからね。これさえ飲めば即効で良くなります」


 今日も医者は患者の前で、何のリスクも説明しないが、別に嘘は言っていない。騙される方が悪い。


「大丈夫。いい薬です」


 患者の前では、天使のような笑顔を見せていた。

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