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ディストピア2030〜信じるか信じないかはあなた次第〜  作者: 地野千塩


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ホワイトデーの陰謀

 三月十四日。ホワイトデー。


「どうせ、クリスマスとかと同じで商業イベントだよ。菓子屋やケーキ屋の陰謀だから」


 S子はこの日も不機嫌だった。今は中学二年生だった。中二病に罹りやすい時期でもあり、陰謀とか陰謀論といったワードも使ってみたくなる。


 そんな背景もあったが、バレンタインにクラスで一番のイケメンにチョコを渡し、あっさりと振られていた。既に彼女がいるらしい。その上、紙袋いっぱいにチョコをもらっていた。S子の本命チョコも、そんな紙袋の中の一つ。虚しくなる。ホワイトデーもすっかり捻くれていたわけだ。


「S子! チョコありがとうな!」


 しかし、三月十四日。教室に入ると、例のイケメンくんからお返しのアイシングクッキーを貰ってしまった。クラス全員に同じものを配っているようだが、チョコを送った事を覚えてくれていたらしい。中身までイケメンで、怒るのも馬鹿馬鹿しくなってきた。


 袋に入ったアイシングクッキー。「一年かありがとう!」というメッセージがデザインされていた。たった一枚のクッキーだが、S子の心は温かくなってきた。


 どうせ商業イベント。菓子屋やケーキ屋の陰謀だ。それでも今日一日ぐらいは、こんなイベントに乗っかっても楽しいはず。


「こちらこそ、ありがとう!」


 S子は笑顔でお礼の言葉を口にしていた。


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