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ディストピア2030〜信じるか信じないかはあなた次第〜  作者: 地野千塩


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これはミステリー小説ではありません

 C子は夫の事が嫌いだった。憎んでいると言って良いかもしれない。


 食事の好みにうるさく「うどんで良い」という時には、殺意も覚える。うどんも素麺も冷やし中華も見た目ほど簡単では無い。せっかく作っても味にケチつけられる。元カノの料理の方がよかったと言われた時は、毒でも盛ってやろうと思った。


 毒か。何か毒で殺せないだろうか。C子の殺意は頂点まで達していたが、どんな毒を使えば良いのかわからない。


 幸い、子供はいない。毒殺するなら、今が一番チャンスがあるだろうと思ったが、毒の調達方法は思い浮かばない。ネットでは不凍液で完全犯罪出来るとあったが、夫は夜中によくキッチンをあさっている。バレる可能性がある。


 即効性がなくても、ちょっとでも具合が悪くなるものは無いだろうか。考えた末、健康に悪い料理を少しずつ夫に食べさる事にした。うまくいけば生活習慣病気になったり、がんになる事だって可能ではないか。特に人工甘味料はがんになりやすいと言われていた。そうだ、添加物だ。これが入った食品を食べさせれば、夫が病気になるかもしれない。


 それに夫は元々血糖値が高い。添加物入りの健康に悪いもので、殺せるかも?


 その日からC子は、ソーセージ、袋入りのパン、肉、惣菜、コンビ弁当などを食卓に上げるようになった。飲み物ははちみつ紅茶。一見、ナチュラルなパッケージに入っていたが、がんになりと噂の人工甘味料が入っている。上手くいけば病気に出来るかもしれない。


 そんなC子の思惑は、上手くいかなかった。夫は添加物入りの健康に悪い食べ物を心の底から喜び、毎日ご機嫌。夫婦仲も回復してしまい、C子の妊娠も発覚した。


 そもそも健康に悪い食べ物や食品添加物で人を殺せるのなら、とっくにミステリーのトリックになっていただろう。C子が調べた範囲では、そんなミステリは一つも知らないし、そんな事件も現実に無い。つまり、最初から無理な計画だったのだ。


「はあ、こんなはずじゃなかったのに」


 C子はそう呟くが、その顔は幸せそのものだった。

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