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ディストピア2030〜信じるか信じないかはあなた次第〜  作者: 地野千塩


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とりかへばや水泳部物語

 今の世の中は多様性。「心の性別」が優先され、世の中滅茶苦茶。


 彩菜は水泳部のエースだった。県大会では優勝した事だって事もあるが、この多様性のお陰で大迷惑していた。


 心が女の子(生物学的には男)が部活に入ってきた。安原というチー牛だった。元々は男子水泳部にいたが、怠惰で練習をサボっていたので成績は常にビリ。そんな安原でも生まれ持った男としての体格をフル活用し、大会で勝ちまくっていた。


 それだけでない。トイレや更衣室にも堂々と入ってきたが、多様性と言われちゃうと彩菜も何も反論できない。差別主義者として悪者にされてしまう。本当に障害があるかもしれないが、トイレや更衣室にいる時の目は完全に男。オスの目だ。時には身体を触ってきたり、セクハラ発言も多いし何とかしなければ。


 そこで彩菜は考えた。逆に女子水泳部は安原みたいなクズ男だらけにしてしまうとか?


 そして生物学上の女子部員は、空になった男子水泳部にごっそり移籍するというのは? 


 そう考えた彩菜は、生物学上男の水泳部員を唆し(トイレや着替えも見放題等と言い)、女子水泳部に移籍させ、彩菜の思惑は成功。予想以上に生物学上の男はクズが多かった事は、彩菜をより失望させたが。


 今は水泳部も生物学上の性別に分けられ、平和そのもの。大会に出られないのは悔しいが、とりあえず身の安全は確保できた。それにしても「女子」や「男子」という看板の形骸化がすごい。いっそ生物学上的に性別を分けてしまった方が、合理的だし社会的だ。人は一人で生きているわけではない。自分の心より、社会的な基準、常識、善悪を優先しなければならない時もある。それも人それぞれの多様性だとしたら、この世に法律も裁判所も必要ないだろう。


「まあ、心の中で私は人魚姫だったりするけど、秘密だよ? そんな事言ったら社会性がなくなるから言わないだけだよ」


 彩菜は無邪気に呟くと、今日もプールの中に飛び込んだ。

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