持続可能な美しい国
日本は飢餓国家認されていた。子供の半数が貧困となり、街は炊き出しや子供食堂で溢れかえっていた。2030年のことである。
大卒の若者は海外に出稼ぎに行き、語学力の無い女達は売春で稼ぐ。街は失業者で溢れ、刑務所が福祉施設化しつつある。いつの間にかこの国は貧困まみれのB級国家に落ちていたが、金持ち達は相変わらず飽食していた。売れ残りの弁当やパンは半額シールがつけられていたが、中間層の国民達が殺到し、あっという間になくなっていた。ちなみに貧困層はもっと酷い残飯を食べさせられていたが、SDGsの一環ともされていた。
持続可能。美しい地球。環境問題への取り組み。国民の貧困も美しい言葉で誤魔化され、表面的には先進国の様にも見えた。
昔は割引きの弁当やパン、残飯を食べることなど珍しく事だった。恥でもあった。バブル世代の老人に聞くと、半額弁当を買う為にわざわざセルフレジを使うものもいるというが、今はありふれた日常の光景。
すでに子供食堂も成り立たなった所もあり、明治時代の貧困街にあったような残飯屋が復活しているという。
これが持続可能な美しいJAPANの現実だった。
「ママ、今日も残飯屋?」
「仕方ないわよ。行きましょう」
ある貧困層の親子もそう言いながら、残飯屋に向かう。一見この親子も身なりは綺麗。貧困街もそこそこ治安はよく、繁華街のモニターでは人気アニメも流れている。高校生の青春もののアニメだ。ちょうどスーパーで高校生達が買い出しするシーンが流れていた。
「半額弁当ゲットだぜ!」
「お前の家、金持ちだな。半額の弁当が買えるなんて。俺は連日、残飯屋だぜ」
「おお、俺だって週に一回は残飯屋だよ」
「ま、SDGsだな!」
持続可能。美しい地球。環境問題への取り組み。今日も美しい言葉で包まれた素晴らしいSDGsが続く。