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落し物届けます  作者: 雪飴
9/18

押し付けられた仕事

(今日は、疲れた……)

 あの後、何度呼んでも姿を現さなかった人物に待つことを諦めた自分は今、自室の部屋のベッドでうつ伏せになっていた。


 ぬいぐるみを受け取ってから、困惑していた自分をよそに、時間は進んでいて、スマホで時計を確認した時。

 スマホの左上には、19時15分と表示されていた。


 慌てて帰って、ご飯を食べ、お風呂に入り、全てが落ち着いて………………。

 今に至る。


 あの時間から、落し物の主を探し出すのは到底無理で、届け先の情報も何も分からない。

 行動に移すのは明日からにしようと決断して、帰って来たのだ。


 落し物っていったら、まずは警察?

紛失届を出している人がいるかも知れない。そもそも、落とし主を探し出すにしても情報が足らな過ぎる。


 それと、困っている事がもう一つ。

 (御守りを取り戻していない!!!)


 衝撃的な出来事に、御守りについて思い出したのは家に着いてからで、今自分の手元に無い事を再確認し落ち込んでしまう。


 明日もう一度、行ってみようか……。

あの古い民家を思い出した時、同時に眼鏡をかけた、口の悪い男の姿も思い出す。


 (押し付けられた仕事こなさずに、家に行ったら。無能扱いされそう……)


 初対面の相手に、あの口の悪さ。

自分が家に侵入してしまったのが、そもそも悪いのだ。素直に誠心誠意謝ろうか考え出したが、謝った所で聞く耳を持たなさそうな相手である。


 やはり、頼まれごとを片付けてから対面した方が良さそうだ。

(明日また、考えよう…………。)


 今日はもう、何も考えたく無いと。いつもより早く眠る事にし、花音は意識を手放した。


―――――――――――――――――――――――――


 いつもより早めに寝たはずなのに。朝の目覚めは、宜しくない。昨日の出来事が夢では無いのは、机の上に置いてある。茶色い、30センチ程のクマのぬいぐるみと、自分の手元にない御守りが現実だと、思わざるを得ない。


(はぁぁぁーーっ。)

 起きて早々憂鬱になる気分に、思わず枕に顔を埋めたのだった。


 いつも通り朝を過ごし、いつも通り学校に行って授業を受ける。


「花音ー?何か今日。ボーッとしてない?」

 千佳が話してきたのは、階段に何度も躓きそうになり、授業中に先生に当てられても、当てられた事に気付かず何人かの先生に心配された様子を、見ていての発言だった。


 授業に身が入っていない自分を気にして、時々小突いたり、当てられた問題を教えてくれたりとフォローしてくれた須藤くんには、感謝している。


「それが、黒っ(猫に)……物を紛失した時って、何処に行けばいいかな?」


 昨日起こった事を話そうとしたが、他人の家に入ってしまった事を話すわけにはいかないと、咄嗟に言葉を言い換え、相談する。


 花音の行動のおかしい理由が、黒い物を紛失してしまったからだと軽く勘違いをし、探し物を手伝うと言ってくれた親友に断りを入れた。


(ここには、届いてなかったかぁー)

授業が終わり、放課後になって。取り敢えず向かった先が交番だった。


「(警察とかなら、あったりするんじゃないかな?

 無くても紛失届出せるし、見つかったら連絡してくれるよ)」

 落し物ならば、警察に届けられているのではないかと自分と同じ考えの千佳に賛同し、交番まで足を運んだが、どうやらこのクマの持ち主は紛失届を出していない様だ。


(何処を探せばいいのーー!?)


 念の為に、別の交番に赴いたり。駅員さんに聞いてみたが心当たりはないそうで、、

 

 当てが外れてしまい、捜索が振り出しに戻る。


 (このクマは何処からやって来たんだろう)

 あちこち歩き回った結果、何の収穫も取れず。駅の近くのベンチに座る。歩き回ったおかげで足が少し痛くなった。


 今日はもう、見つけ出せずに切り上げる事になりそうだ。弟の迎えに行く時間まで、休憩する事にした花音は、その後ぬいぐるみを入れた鞄を持って、地元の駅まで行く為、改札に向かって歩き出した。


 



 


 



 

 

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