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落し物届けます  作者: 雪飴
15/18

少年1

 いや、本当に大丈夫か?クマの記憶って……。100人

居たら100人に頭の中を心配される発言だと思うけど…。


 あの男が言う助言を信じても良いのか、揶揄われているだけなのか、、。

 それでも他に探しようが無いのでクマの記憶を頼りに?するしか無い。


「署名しない方がよかったよね……。」

 歩きながらポツリと後悔が口から漏れるが、あの男に口では敵わないと諦める。何を言っても言い返してきそうだし。


 私が名前も分からない傍若無人男とのやり取りを、思い出していた時に、御守りと署名の件で頭の中がいっぱいで、特になにも思わなかったが。あれ?と今になって一つの疑問が浮上した。


       いいからそこに名前を書け

          "館倉花音(たてくらかのん)"

 

「私、自分の名前教えたっけ?」


 考えてみるものの、名乗った覚えは全く無い。もしかしたら知らない所で会っていたのかも?だからあんな態度を取ってきたのだろうか。


「んんーーー。」

 頭の中を捻っても、関わった記憶が見つからないので、ひとまず頭の片隅に留めておくことにし、ゆーくんと言う少年の探索に集中する事にした。


―――――――――――――――――――――――――

 公園まではそれ程遠い距離では無いのだが、日が落ちてきているので、また明日探しに来なければいけないかもしれない。


「それにしてもなぁ、名前だけじゃ分かんないしなぁ」

 何だか、振り出しに戻った気分になってしまう。このクマの落とし主は、見つかってるのに。男の子を探すなんて、遠回りする必要があるのだろうか?

 今日会ったちーちゃんという女の子だって、運で会えたものなのに……。


 (クマに聞いてみる?)

「クマさん、クマさん。ゆーくんって言う男の子は誰なの?」

「……………………」


 言ってみて、花音は死ぬほど後悔する。

 自分は、疲れているのかもしれない。(はた)から見たら、、女子高生がぬいぐるみに向かって話しかけるやばい図になる。


 (それもこれも、傍若無人男がぬいぐるみに聞け、なんて当たり前の顔して言うから!!

 喋るわけないよね!だってぬいぐるみだもん!)


 顔から火が出るほど恥ずかしかったが、救いなのはそのやばい姿を誰にも見られていない事だった。


 周りを見れば公園に残っている子どもの数は、昼間と比べると少なくなっている。日はまだまだ明るいが、後一時間もすれば夕焼けが見えてくる筈だ。

 

 やはり今日は切り上げて明日探す事にしよう。花音にも夕飯の準備が待っているのだ。

 冷蔵庫の中身は何が残っていただろうか?花音の頭の中で、夕飯の事を考えながら公園を歩くと、視界の端で何やら気になるモノが目に入る。


 公園を囲むようにした茂みに頭を突っ込んでいるのだ、見て分かるのは暗いという事で、その子の表情が暗く焦った顔をしている。


 男の子の雰囲気を見るなり、声をかけた方が良さそうだと判断した花音は、声をかけた。

「大丈夫?」


 


 





 


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