第7話 お出かけ中
馬車を使用して少々。
キルトスの町に出かけると、開放的な景色が目についた。
元の世界みたいな高層建築の存在しない世界だから、場所によっては地平線が見えたりするのがよくある。
この世界の文明水準はそれほど低くもなく、高くもなくと言った感じ。
水道環境が整っているから、衛生的に過ごせる生活があって、食生活もそれなりに豊、異国との貿易も行っていて、これから発展していくだろうってレベルだ。
遠くの地方と会話できる電話みたいなのが開発間近で、蒸気機関とやらもそろそろ出来上がる頃といった感じ。
元の世界の知識を利用して、なり上がりみたいなのはそう期待できそうにない。
逞しいこの世界の人達は放っておいても、さくさく勝手に文明を進めていくだろう。
「ラックス様、もうすぐキルトスの町に着きますよ」
「ん、そうか」
のんびりとした街道の風景が終わって、町が見えてきた。
大層な建物はないけれど、ゆったり過ごすにはうってつけっていう感じの町だ。
建物がつめこまれてごちゃごちゃしている感じはないし、かといって離れすぎてて閑散としているわけでもない。
適度な距離を保って、存在している風景は、規律のある町並みに見えた。
「それもそうでしょう。キルトスの町の治安は、この国の中でもトップクラスに良いのです。ラックス様のお父様の尽力があればこそですね」