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好きです。パンツください。  作者: 若めのわかめ
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とある友人のお話

 なぜか女の子と一緒にいる時間が多い結人にも、親友と呼べるほどのちゃんとした男友達がいる。

 一条柊耶(いちじょうしゅうや)とは中学校で知り合った。

 中学では3年間クラスが同じだったこともあり、その存在は結人の中で唯一無二のものとなっていった。

 そして高校も同じところへ入学し、1年時はクラスが違ったが、昼食と帰路を共にしてその関係は途切れることなく続いていた。

 2年になるとまた同じクラスになり、増して2人でいることが多い。

 今日も2人して体育中にも関わらず、体育館の陰で休みながら話し込んでいる。


 「付き合う気はないんですか?」


 春宮桜乃(はるみやさくの)との事情を1通り話し終えた後の柊耶の返答。

 彼が敬語なのは、家がお金持ちで育ちが良いからであって、決してよそよそしいからではない。

 結人もとっくに慣れており、あまり気にしていない。

 

 「別に好きな訳じゃ無いし」

 「ではなぜ一緒に遊んだのですか?」


 なかなか痛いところをついてくる。

 気の置けない関係ともあって、向こうも何も考えず思ったことを口にしているのだろう。

 なので結人も特に考えず思ったことを口にした。


 「成行きでそうなったんだよ。嵌められたといっても過言ではない」

 「そうですか。僕もあんな美少女にならハメられてみたいです」


 こいつ絶対カタカナ表記にしやがったな。

 実の所、柊耶もなかなかの下ネタ使いである。

 桜乃の下ネタに対してスムーズにツッコムためのスキルは、彼から学んだところがある。

 ただし同じ下ネタと言っても、柊耶はもちろん冗談の類だ。

 それに対し桜乃は本気に思える。

 ただ2人の下ネタは少し上品に聞こえる。

 やはり容姿が関係しているのだろうか。


 一条柊耶は親友としての補正無しでも、文句無しのイケメンである。

 外に跳ねた髪に切れ長の綺麗な目、それに加えドSなので女子からはとてつもない人気がある。

 だが、それに負けず劣らず結人も人気がある。

 結人の方と言えば顔は普通なので、本人はなぜモテているのか全くわかっていない。



 この2人が固まっているとより一層喜ぶ一部のマニアックな集団がいるのも事実だ。

 証拠に話している2人を体育館のベランダから覗いている女子がいる。

 柊耶はその集団に気がついたらしく、上を向いた。


 「あまり見ないで頂けますか、気持ち悪いです」


 棘しかない言の葉。

 上方からは「きゃー」という声が降ってきている。

 それは悲鳴ではなく、黄色い歓声だった。

 柊耶のフォローをすべく、結人はいつも通りに言葉を加えた。


 「体育頑張れってさ。俺も応援してるから、頑張れよ」


 最後に軽くはにかんで見せる。

 これはあざとさを意識している訳ではなく、柊耶の棘を自分で緩和しようとした結果である。

 それがたちまち女子の間でヒットしたわけだ。

 また黄色い歓声が上がった。

 なにやら盛り上がりながら女子は体育館へ戻っていく。

 そんな彼女らを見ながら、柊耶と結人は顔を見合わせ吹き出した。

 先生に軽く注意を受け、2人は足早に授業へ戻った。

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