愛のメッセージ
晴れた日の午後。
結人はグラウンドでソフトボールをしていた。
部活動をしていないので、グラウンドに出る機会は体育しかない。
彼は運動が不得手では無いし体育は好きなのだが、この日はあまり乗り気ではなかった。
三階の教室から笑顔でこちらに手を振っている美少女が目に入ったのだ。
彼女は春宮桜乃、校内一の美少女である。
周りの生徒も彼女をチラチラ見ているが、当の本人は全く気にしていないようだ。
そんな彼女がどうしても意識の外に追いやれず、結人はソフトボールに集中出来ずにいた。
そんな彼女は何やらノートを一生懸命に書き出した。
やっと授業に戻ってくれたかと思い、こちらも試合に集中しようとした矢先、ものすごい寒気がした。
なにやらノートにマジックで文字を書き、こちらにメッセージを送っている。
『あまり乗り気ではないですね』
お前のせいだよ、とノートの文字にツッコミたいがきっと向こうには伝わらない。
つまりこの現状は彼女のほうに主導権がある。
彼女のやりたい放題が出来る絶好の状況なのである。
『オ〇ニーのし過ぎですか?』
こいつ・・・・・・
俺が言い返せないのをわかってて楽しんでやがる。
結人は桜乃を睨みつけているが、それすら向こうはたまらないらしい。
おっとりした顔で見つめてくる。
こいつはドSなのかドMなのかわからない。
変態なのには間違いはないが。
『私は先輩で3回しましたよ』
言わなくていいよ!!!
人間だし仕方ないと思うが、そういったことは黙認することだろう。
それを付き合ってもない片思いの相手に言うか?
いや、付き合ってても言わないだろう。
くそ・・・・・・
そんな彼女をにらみ続けながら、チェンジを告げるチームメイトがいるベンチへ駆け寄った。
それからしばらく経ち自陣の攻撃が終わり、また結人が守備に戻るとやはり彼女と目が合った。
待ってましたと言わんばかりに手を振っている。
俺が本当に闘うべきは相手チームではなく、彼女からの歪んだ愛だろう。
『先輩がバットを振るのは私だけにしてください』
ど下ネタ!!
この性欲オバケめ。
あいつの脳みそは全部ピンクか。
結人は最近彼女を『変態のイデア』なのではと思っている。
『バントはOKですけど』
意味がわからん!!
バットはわかるがバントって何のことだ!?
くそ、ちょっとだけ面白い。
すると先生が桜乃の元へ行き、なにやら説教を始めたらしい。
やーい、ざまーみろー。
外を見て遊んでいることがバレたらしい。
しかし桜乃は先生に負けじと言い訳を始めたようだ。
往生際の悪い、大人しく授業受ければいいのに。
すると先生はおろかクラスメイトが涙を流し、スタンディングオベーションを始めた。
なに!?
なにがあったの!?
すげー気になる。
先生は納得した様子でまた授業に戻った。
桜乃はガッツポーズを隠す気もなく思い切りやり、そしてこちらにまたノートを見せてきた。
『先輩ヤりましたよ!!』
その字は誤解を生むから!!
「や」がカタカナなのは絶対わざとだろう!!
その時心でツッコミを入れていた結人を現実に引き戻すようにチャイムが鳴った。
結人は人生の中で一番のダッシュで更衣室へ戻った。




