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好きです。パンツください。  作者: 若めのわかめ
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結人の素性

 この男、真田結人(さなだゆいと)は校内一の美少女

春宮桜乃(はるみやさくの)から熱烈なアピールを受けている。

 今日は『足を舐めさせて欲しい』とねだりに来ていた。

 もちろん結人は一向にかぶりを振っていた。

 じゃあ私のを舐めてもいいです、と訳の分からぬ妥協案を提示され、とうとう結人は逃げ出した。

 半泣きになりながら。

 桜乃のことが怖いのである。


 これがもし男女の関係が逆であったとしたなら、おそらく男は学生ながらも警察のお世話になるのではないだろうか。

 そして友人を失くし、退学する。

 そんな未来予想図を描くには容易い。

 しかしたちまち男子がウケにまわれば、そのような予想図は消えてしまう。

 このことは男女平等を謳う世に相応しくないものなのではないだろうか。

 ここに社会へ一石を投じておく。


 閑話休題



 結人自身は俺がなぜこんな美少女にと思っている。

 しかし周りの人間からすれば美少女が結人を選ぶのはそれなりに妥当な選択だと思っている。

 結人は実はモテるのだ。

 特別顔がかっこいい訳でもないが、父と母が出張でよく家を開けるので二つ下の妹の世話と家事を結人は1人でしている故に、料理も家事も得意なのだ。

 たまにクラスメイトを優しい母のような眼差しで見守る姿は、『マリア様』と称されたりする。

 そしてなによりものすごく周りの人間に対して気が利くのである。

 黒板の一番上の文字が消せない女子にそっと手を差し伸べたり、筆箱を忘れた友人にそっとペンを渡したり、お昼を忘れた知らない同学年の男子にお弁当を分けたこともある。

 なので本人は知らないが、女子の間では『結婚するなら結人君』という常套句が出来上がっていた。

 しかし春宮桜乃が結人の紳士的な優しさに惚れたのかどうなのかは誰も知らない。


 結人に密かに好意を抱いていた女子は、桜乃が結人にアタックしていることを悪く思ってはいない。

 結人が幸せならそれでいいと『本物のファン』のような気持ちがあるのだ。

 むしろ応援しているほどである。

 結人からすれば、嫉妬から彼女のアタックを妨害してくれたほうが助かるのだが、その想いは届かずにいる。

 そんな紳士ゆえにモテる結人のナイスガイな生き様をここに記しておく。



 そんな時、当の本人結人はくしゃみをしていた。

 誰かが噂している、まさか春宮桜乃では、と辺りを見回し、肉食動物から逃げる草食動物のような動きをとっていた次第である。

 


 

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