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負け組非凡の二度死ぬ転生記  作者: フェル・テズマ
第二章:非凡の新たな転生ライフ
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使徒として、家族として、見せる

「私たちにしか話せぬ内容……か。信じて良いのだろうな…?」


鋭い眼光だ……。どんな嘘も見逃さない、ドラマとかでみる尋問官みたいな威圧感だ。

でも、それに屈することは無いし、屈する必要すらない。…ただ、真実を話して、理解を得てもらうだけ。

…これが本当に難しい事だけど、腹はくくったんだ…。もうどうにでもなれ!


「…その前に一つ…たった一つだけ、母上と父上にお聞きしたいことがあります。これの返答次第で、話せる内容が異なります。よろしいでしょうか?」


これは事実でもあり、嘘でもある。速い話が宗教的なアレだ。

俺としては唯一神を信じるなんていう事は無いとは思うが、確認せずにはいられない。ディオ…彼らが嘘を言っていないか、頼む。念のためだけどね。


『ええ、了解』


よし。これで安心して内容を聞ける。俺自身も可能な限り嘘かどうかを見極めよう。俺は、対人を避けていた。だから、今…目の前にその対人に関するプロがいる。その人の表情とかみて、俺も参考にしないと。勿論、それがハイレベルなら、それに届くように自らを磨き上げないと



「うむ。して、聞きたいこととは?」


父さんの返答に、俺はこう聞いた。


「母上や父上は…神様を信じているでしょう。しかし、その神が複数いることを考え、それらを拝む…といったことをしましたか?…つまり、母上や父上は信じる神が一柱かそうでないか…です」


これだけは確実に聞きたかった。この世界の価値観は聞いているけど、絶対じゃない。簡単な例を挙げるとすればこのバカップルだろう。なぜバカップルかというと、実はこの夫婦、スキあらば砂糖マーライオンを王宮中に作っている。そして、ゲロ甘い。一夫一妻というのは王族では極めて異質だ。本来は多くの妻を娶り、跡取りを可能な限り作るのが常だ。でも、それは一般常識であって、このように例外はいるのだ。

この国に決まった宗教は無いが、商売や海の神を基本的に崇めている。つまり、この時点で多神を信じていることになるが、それでも不安な事は不安なのだ。「実は…」とかって来られたら心臓が破れそうだ。二人はさてはて、どうだろうか。



「ふむ…何を危惧しておるのかは分からんが、多くの神々は確かに信じるぞ。現に加護や祝福を持っておる者もこの王宮には複数ではあるが、おるのでな」


「私も同じ意見ね。こんな素晴らしい世界を神様が一人で作ったわけないでしょう?確かに神様一人なら「創る」ことは出来ても「維持」は難しいんじゃない?それが私の意見よ。これでいいかしら?」


嘘は言ってない。そうディオがしぐさで教えてくれた。


「…ウソではなさそうですね。申し訳ありません。疑うというのは不敬ですが、どうしても聞きたかったのです。何事にも、例外はありますから」


「…我が息子よ、そなたは本当に5歳児なのか?とてもそうとは思えん。たった5年という短い人生なはずなのに、ここまで流暢に言葉を…」


「それらも全て、お話します」


ここら辺の説明は神様たちに承諾をすでに受け取っている。もちろん混乱が出るかもしれないが、それでも俺がこのまま王城にいると不都合がかなり出てくるのでここらで話して許可をとっておいていいだろう、とは魔法神のベイルモニアの言葉だ。

どうもこの5年でこのあたりの修復が進み、順調だという。そして段々とではあるが、その周りの組織の修復、および強化をしている最中だという。


ただし、話していいのは「自分が異世界人であること」「神々から使命を受けて転生したこと」「依頼の大まかな内容」。この3点である。使命を受けたというのも、特定の神の名を出すことは許されないらしい。まぁ、そこは色々制約があるんだろうけどな。

俺が異世界人の転生者というのも、実は秘匿されている。これは神々が厳重に設定したコトらしく、あまり騒ぎに立てるのも良くないだろうという配慮でそうなっていた。


けれど、許可を取った今現在では、俺の裁量によって「自分が異世界人」ということを明かせるようになった。



「まず、私自身について…というより、私が請け負った使命についてです」


「使命…?」


「父上、鑑定はお持ちですか?又はそれに準ずる物を」


「うむ。このイアリングであるな。これには鑑定・熟が付いておる」


そういって二つあるイアリングの一つを見せた。透き通るような綺麗な宝玉で周りを金で装飾している。けれど、「見通す」ということで透き通っているというのは、中々粋が良い。


「…それで改めて、私のステータスをご覧ください」



そこで俺は初めて、自分の表示する称号にとある称号を設定した。



「では、行くぞ…。………っ!?」


…まぁ、信じろって言われてもある程度は無理だろうな。


「まさか…使命とは…バルマウスト…」


「あなた、どうしたの?そんなに変なのがあったの?」


驚愕の表情を浮かべながら妻である母さんにも父さんは催促した。


「…セーラ。そなたも見てみよ」


「?……っ!!」


母さんもこれで気付いたな。っていうか母さんも鑑定のあのイアリング持ってるな。


分かる人にはわかっただろうが、俺はこの時点で初めて称号の部分を【神の使い】に変えたのだ。つまり、俺は神様から遣わされた使徒と同類という事になる。だが、そうすると俺のような存在は天から舞い降りるといった神々しいイベントとかでくるはずなのだ。

それが、人の、それも自分たちの子供として現れたとなれば驚かないほうがどうかしてる。…いや、どちらにしろ驚くか。驚くベクトルは違うかもしれないが。

もちろん、この処置は一時的なため、すぐに戻した。


「そういうことなのです。私は、神の使い…より正確にいうなれば、神々から依頼をされて来ています。もちろん、私も元は人なのです」


「神の…依頼?」


微妙に変な感じになったけど俺の語尾はこれくらいなので許して欲しい、父さん。


「はい。そしてその依頼を完遂するには、私は一か所にとどまってはいけないのです。もちろん、神託によりけりですが、私が一か所にとどまってはこの依頼が永遠に未完成なのです。父上や母上も、王宮に住むみんなが私を天才と称えたでしょう。ですが、それは前世の知恵があってこそ出来たことです」


「前世の…知恵?じゃと?」


「それ以外にも…ディオ」


ここもディオに承諾済みだ。

俺が名前を呼んだら、俺の前に現れたみたいに光に包まれながらその姿を現した。元々姿は見えるけど、みんなにも見えるようにした感じだな。もちろん、今回は完全に魔力の隠蔽が効いてるため、大きな被害なしだ。


「!?こ…これは…光の最上位妖精!?」


「うそ!?こ…これが…」


「はい。確かに彼女は光の最上位妖精です。ですが、彼女は私のこの依頼を完遂させるために私専用に創られた妖精なのです。今はこうして姿は見えるようになっておりますが、どんな鑑定も、それがユニークにまで達したとしても、見ることは出来ません」


「た…確かにさっきから鑑定してるが、通り抜けておる…」


ま、鑑定・熟程度で敗れるような物だったら俺はまた死んでそれを施した神を殴る自身あるわ。



『ちょっと!?』



「彼女のステータスを観れるのは、契約主である、私だけです。因みに5年前…私が赤子の頃、部屋に膨大な魔力暴走らしき痕跡はこの世界に来るときの彼女のミスです。お分かりいただけましたか?」


「異質異質とは前々から思っておったが…転生者か?」


「おおむね、正解です。これ以上は私からは…」


「う…うむ」


一応、頷いてくれたけど、やっぱり混乱は…大きいか。


「そういう事なのです。一度死に、この世界の危機を救ってくれと頼られ、それを受け、新たに生を受けているのです。それが私、バルマウストとしての、一端です。これらを踏まえて、力を貸して欲しいのです」


いきなり唐突かも知れないけど、事によっては世界最重要軍事秘密だ。これでなんの力も貸してくれなかったら…この王宮を何らかの方法で抜け出すしかない。出来なくはないが、時間がかかる可能性があるため、それは選ばない。

…いや、そもそも逃げれない、かな?


「色々信じられんところがあるが…それでもいままでの評判を聞いた後にこれだと、色々納得する部分はある」


「そうね。それで、バルは私たちに協力してほしいのね?」


「…はい」


これで乗ってくれなかったら…

だが、話は俺の思っていた方向とは若干違う方向に向いた。


「私たちの協力がないと、依頼が達成できない?」


「できなくはないですが、その場合少なくとも最初の歩みは強引なものになります」


「それなら、我らはどうすればよい、わが息子よ。いや、この場合は使徒様と呼べばよいか?」


あれ?以外に肯定的みたいだ。よかった…。

確証があったとはいえ、前までの感覚が未だ抜け切れていないのがあるらしい。


いや、でもまだ疑う気持ちも…ある。


「私は正真正銘の、あなたたちの息子です。使徒ではないです。ただ、妙な称号をもっているだけの、普通の男の子ですよ」


そして俺は可能な限り微笑んだ。

あまり笑う機会がないから出来ているか分からないけど、でも、これで意思が伝われば…


「息子…か。ふ、そうか…」


「ありがとう、バル。それじゃぁ私たちはどうすればいいかしら。あなたの、その使命を全うさせるには」


……なんだろうな。

この人たちは信用できる。どうしてか、そんな感じがする。


本来だったら「どうして疑わないんですか?」とか聞くはずなんだけど…どうしてだろう。なぜかその必要がないって確信をもって言えるくらい、有難いって思っている自分がいる。

…なんだろう、この感じ。


「私に、可能な限り戦闘術を教えてください。それも主に近接系列の。私にはディオ…この光妖精がいるので魔法系列は大丈夫なのですが、近接となると、どうしても実践を積まなければ強くなれないので」


「うむ。確かにそうだな。それらの説明は我の方で可能な限りしておこう。して、このことは秘匿ということでよいな?」


「はい。母上と父上は聞きませんでしたが、いずれこの使命がどういったものなのか…これを聞いてくる輩は必ず、いずれ出てきます。それを防ぐためにも、秘匿をお願いします」


「うむ。任された」


「それと、このことは他の兄上や姉上にも秘匿してください。私が出た後、彼らがその理由を聞いてきたら…その時に正直に話してください」


心苦しいけど…これが俺が出来る最大限の譲歩だ。俺の兄さんや姉さんも…悪いようにはならないだろう。利用されているのなら質が悪いけど。



こうして、俺は父さんと母さんの協力を取り付けられた。…最初に味方につけたのが砂糖マーライオンを量産する王族夫婦って言うのも文面だけ見れば凄いけどね。


その後、俺の使命の内容を聞いたときは流石に驚きを超えて血の気が引くような顔をしていたが、全部説明し終わったころにはそれなりに顔色が回復していた。まぁ、それを治すために来たんだしね。


この時に、俺は父さんから隠蔽のアクセサリを渡された。やっぱりあまりに強力なスキルだと…ね。

父さんや母さんは俺のステータスを見たため、それに伴い、必要な物を色々準備してくれた。もちろん、旅に出る前に親として色々心配なため、俺が旅を出るのは、冒険者ギルドに登録可能な最低年齢の12歳からだ。今の俺は5歳だから後7年か…なんだか遠いな。それまでの世界の旅は父さんや母さんが同行する微妙な世界旅行という事になった。あまり遠くはいけないけど贅沢は言えない。


これもディオに教えてもらった事だが、名前の部分は転生神であり、魂の情報を管理するアルフェイルスに頼めば名前は変えられるとの事。本来は魂の神殿という場所まで行かなければならないが、俺の場合はいつでもどこででも出来るという事で、12歳になったら別人の名前になるように頼んでおいた。これも父さんと母さんに確認済みである。


王族が冒険者になるっていうだけで結構体面が悪い部分は悪いからね。



さて、どんどん強くなるとしますか!


文面だけみると凄い夫婦を味方につけましたね('ω')


もうそろそろ旅の仲間みたいなのを増やそうかな…。

未だに計画中です。

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新しく連載することにしました。

シンケンの使い手~こんなチートありですか?~

これらも是非、宜しくお願いします。
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