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第0話 終わり -Bad Ending-
※0話は物語のはじまりの前のお話なので、1話から読んで頂くのでも、内容には支障ありません。
勇者になりたかった。
救いたかった。
一人の少女がそれを願ったから。
死んで欲しくなかった。
けれど、少女は一年前
魔王に殺された。
敵を討つはずだった。
けれど、少年は――。
「くそっ……体……動かねー」
魔王を倒しに行くと決めた今日この日、俺はどうやら運悪く雷に撃たれたらしい。
最悪だ。
鉛のように重い体。視界はだんだんと狭くなりつつある。
――死ぬのかな、俺。
何も出来ない自分に腹が立ち、悔しさに薄らと涙を浮かべる。
どうして……。
魔王からこの街を守るどころか、ストリアの敵すら討てないなんて。
動かない体から少しずつ血の気が引いていく。
――嫌だ……嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ!
このまま死ぬなんて……!!
俺は、ストリアを守りたくて、彼女の笑顔が見たくて勇者を目指したのに。まだ何も、出来てないのに、死ねるかよ……!
しかし、重い瞼は俺の視界から色を消した。
「くそ……っ」
こうして、俺は死んだ。守ることも、魔王に鉄槌を下す事も出来ずに。