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七皿目

 

 

 

 帰還した家出少女の運命は、


「そうか宿題やってあるのか、偉いなぁ。流石陽茉は良い子だなぁって、感動と安堵の涙を流しながら、頭を撫でてくれました」


「「「「え…」」」」


 一同一様にぽかんと言葉を失った。


「他の皆もほっとしたみたいで、そっか陽茉はちゃんと宿題やってあるのか、偉い偉いって」


「「「「は…?」」」」


 何だって?


「皆、ぼくが無事に帰って来た事を喜んで、宿題終らせてある事を誉めて、宿題やってある良い子には御褒美あげないとなぁ、そうだ今夜は宴会にしようって」

「え、ちょ」


 頼む。舞って…じゃない、待ってくれないか。


 やばい頭が付いて行かない。


「待って、陽茉、怒られたりは!?」

「してませんよ?」


 陽茉はきょとんと答えた。


「まあ、結局ぼくを見付けられなかった警官さんたちは、祖父に大目玉喰らって居ましたし、ぼくが何処にいるのか把握してなかった両親や兄姉は、叱られてましたけど。ぼくは少しも怒られませんでしたよ。やるべき事をちゃんとやってたから、誉められただけで」

「否否、ちょっと…」


 おかしくないか。


 おかしくないか!?


「まぁ、以来携帯電話を持たされて、マメに連絡を入れなさいって、祖父に泣いて頼まれましたけど、皆一人で一月も旅行した上に、宿題をきちんと其も夏休み終了の一週間も前に終らせたぼくを良い子だって」


 此は、恐ろしく…。


「「「「甘いっ!!」」」」


 四人分の叫びが揃った。


「何其のやたら陽茉に甘い家族っ!?」


 萌莉先輩が至極真剣に突っ込む。


「おかしいでしょう。普通、真っ先に心配掛けた事を叱るでしょう。じゃなきゃ駄目でしょう。常識的に考えてっ!!」

「やー、何故か皆、ぼくだけは叱らないんですよね。厳しく扱ったらいけない壊れ物として認識されているみたいで。実際は、道場で祖父の次位には強いんですけどね…。家で一番ちびなもやしっこなので、どうも皆、外見に騙されてるみたいで。儚い深窓の御姫さまに見えるみたいです、ぼく」


 飄々と笑った様に見えた陽茉の目には、やるせなさが込もっている様に見えた。確に陽茉は可愛くてか弱い女の子に見えるけれど、決して弱くない。守られなきゃいけない御姫様ではない。


「馬鹿ね、陽茉の家族は」


 つい、言っていた。


「見る目が無い」

「ですよね」


 答えた陽茉は嬉しそうだった。


「固定観念に囚われているんですよ。皆田舎人間で頭がかっちかちなので。まぁ、ぼくは其を良い様に利用しているので、別に構わないんですけど」

「此の小悪魔が」

「あはは。でも皆、禁句タブーを口にしたので、またぼくの一人勝ちですよ。何か罰ゲームとか、決めて置けば良かったかな」


 萌莉先輩の暴言に陽茉は笑った。

 重々承知しているのだろう。

 陽茉は自分の価値や立場を理解し利用出来る子だ。ぶっ飛んでいる様で最低限はちゃんと謀っている。


「あ、皆、一言ずつぼくに愛を囁くとか、如何ですか?公開羞恥プレイ。愉しそうでしょう?」





拙いお話を読んで頂き有難うございます


誤字脱字等気を付けているつもりですが

何か気になる箇所がございましたらお教え頂けると幸いです

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