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四皿目

引き続き、間延びした語り口が嫌な方は回避をお勧めします。

 

 

 

 相変わらずのんびりした口調で、華は続けた。


「でー、まー、幼馴染みが何したかーて言うとー、姉の腰抱いてー、彼氏の前に立ち塞がったんですよねー。でー、声掛けたのは彼氏が連れてた女の子のほーでー。新しい男が見付かって良かったね、君程度の子にはそう言う残念な男がお似合いだよーてー。どーも元カノだったみたいですねー。世界意外に狭いー」


 世界は狭いで済ませて良いのか此の話は。


「でー、姉に言ったんですよー。そろそろ気付かないかな、スミ程の女に相応しい男は俺しか居ないーてー。良い加減気付いてくれないと襲うよーてー。其の儘姉抱き締めてフレンチキス。あ、澄てーのは姉の名前ですー」


 華が言ったフレンチキスはバードでなくディープの方なんだろうな。

 ぶちかましちゃった訳だ…。うん。


「まー彼氏はあぜーんー、彼女二人は涙ー、ですよー。何てゆーかー、飛んでも無い男ですよねー…。弟目に見てもー、明らか彼女二人より姉の方が美人なんでー、敗北感半端無かったと思いますよー」


 目の前で彼氏が華にキスした場面を想像してみた。


 …うん、完敗だわ。戦える部分が性別しか無い。


「幼馴染みのほーは女泣かすなんて日常茶飯事ですからねー、お構い無しでー、姉を口説き出す訳ですよー。何時まで待たせるの、澄は俺だけ見てれば其で良いんだよ。俺は澄以上の女なんかいないってずっと前から気付いてんのに、何で澄は気付かないの。早く、俺だけの澄になりなよーてー」


 うわぁ…俺様なのか何なのか…。


「どーもー、幼馴染みはずうーと、其はもー中学で付き合う前からずうーと姉だけが好きだったみたいでー、姉が自分だけを見てくれないからー、なら俺以上の男を見付けて見せろよーて振っただけでー、自分以上の男なんて居ないーて気付いて自分だけ見てくれるならー、大歓迎だったみたいですー。何てゆーかー…凄まじい人ですよねー」


 凄まじ過ぎる…。


「でー、姉はと言うとー、彼氏と幼馴染みぐーでぶん殴って俺の手を掴んで逃げようとしたんでー、取敢ず話位聞きなよーて留めたんですよねー。でー、彼氏に俺が其の女は何ーて聞いたんですよー」


 其は…、ちょっと、如何なんだ。酷くないのか。


「彼氏何も言わないからー、此の儘だとー、姉との約束すっぽかしてー、貴方が浮気してたーて事になるんですけどー、いーわけしないんですかー、いーわけしないと姉とより戻しは完全に無理になりますよーてー。華いーからーて姉は帰りたがったんですけどねー。曖昧にしたらすっきりしないでしょーてー、俺は帰らせなかったんですよねー」


 うん。良くわかった。此の子は鬼だ。

 貴方が鬼か。そうか華がコワイっていう話だったんだね。


「そーしたらー、彼氏じゃなくー、女の子のほーが最近付き合い始めたーていー出してー。まー姉への腹いせでしょーねー。多分其の子ー、まだ姉の幼馴染みが好きだったんでしょーから。俺はー、彼氏に何もいーわけしないのーてー。其処でやっと彼氏が口開いてー、自信が無かったんだーて。澄みたいな美人が何時までも俺みたいな男相手で満足してくれるか不安だったんだーて。だーからって何も浮気しなくてもーて思うんですけどねー。姉は、馬鹿じゃないの、浮気なんてしなければずっと好きでいたよーて泣いてましたー」


 うん、何かわかる気がするわ。彼氏の気持ち。余りにも過ぎた彼女が出来ちゃうと、逆に不安になるね。


「別の日なら兎も角ー、姉にとって大事な日に浮気した訳ですからねー。まーでも其の後じゃあ其の男は何ーて彼氏のほーも訊いて来てー。偶然会った元カレーて姉は言ったんですけどー、何か今ひとーつ説得力無いですよねー。でー信じられないーて彼氏に言われた姉はー、幼馴染み睨んであんたが余計な事するからーてー」


 うん何か華の姉の気持も其の彼氏の気持も良くわかる気がする。


「幼馴染みは悪びれもせずに俺は澄が手に入れば良いんだーてー。もー幼馴染みの彼女号泣ですよー。仕方無く俺ー、姉が恋人と過ごしてたなら俺が居るのおかしーでしょーてー。俺に引っ付いてる姉とー、幼馴染み指差してー、あの人が恋人なら姉のハンカチは俺じゃなくてあの人になってるはずでしょーてー。此の人馬鹿だけどー、振られるまでは一途なんですよー、変わり身は早いけどー、二股はしないんですよーてー」


 もしも姉に恋人より好きな人が出来たとしたらー、浮気なんてまだるっこしい事なんてせずに潔く別れてアプローチするでしょーと華は笑った。呆れた様な、でも優しい笑い方だった。


「此の人と付き合うならー、其位の覚悟で真っ向勝負して下さいーてー、面倒臭くなって結局言い逃げしたんですけどねー。其処から姉の失恋パーティに付き合わされてー。もー華が一番いー男だからいけないんだーとかふざけた事言い出してー。何だかんだモテる人なんで弟も楽じゃないんですよねー…」


 でも確に華は良い男だ。自分より美人はちょっと…を良く振られ文句に使われるらしいが。


「でー、そんな失恋パーティに思わぬ乱入者が来たんですよねー」


 ま、まさか…。


「姉の幼馴染みがー」


 やっぱりか。


「澄、好きだ付き合ってくれーて。流石の姉も引っ掛からなくてー、浮気男は御免よーてー。でも、幼馴染みのほーは諦めなくてー、其の日からー、猛烈にアプローチ掛けて来てー、結局姉が折れちゃったんですよねー」


 ああ、確に駄目なヒトかも知れない華姉。


「でー、付き合い出したら此が上手く行っちゃってー、まー元々姉史上最も長続きした彼氏だった訳ですからー、相性は良かったのかも知れませんけどー。幼馴染みがほんとーに姉一筋の人だったみたいでー、もーやばい位献身的でー。其の分独占欲もやばいんですけどー。結局あっさり付き合い長続き記録を打ち破ってー、此の度無事結婚に持ち込みましたー」

「は?」


 思わずわたしは突っ込んで居た。其迄は五分で聞きながら五分で本を読んで居たのだが、完璧に手が止まった。


「結婚、しちゃったんですよー。姉がー、幼馴染みとー」


 ほらー、と華が見せた写メには結婚情報誌の表紙にでも載りそうな美男美女のウェディング姿が写っていた。流石華姉、半端無い美人だ。


「でー、ほらー、結婚式でー、新郎新婦がお互いにお願いしあったりするじゃないですかー。あの二人の其がー、新郎がずっと俺を一番好きでいて下さいでー、新婦が一番じゃなくても良いからずっと一緒にいて下さいてー、姉の駄目っぷり炸裂しちゃってるんですけどー」


 華が苦笑して頬を掻く。


「姉の言葉に対しての旦那の答がー、監禁してでも手放さないからーてー。式場のくーきが一瞬凍りましたよあれはー」

「コワっ」

「否、甘いっ」


 びー


「はい、萌莉さんの負けです」

「あ…」


 わたしの渾身の突っ込みを勢い込んで否定した萌莉先輩が唇に手を当てた。そう言えばゲーム中だったか二人は。


「まぁ良い。甘いよ彼氏。甘過ぎる。ナニ其のヤンデレっぷりは。乙ゲーか!?」

「やっぱり、趣味悪い」


 萌莉先輩の反応に陽茉がぽつりと呟いたが、幸いにも萌莉先輩の耳には入らなかった様だ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。


「まー高収入な職に就いてる人だしー、姉一筋だしー、あの姉にしては増な男を捕まえたのかなーて感じですけどー。結局姉の人生其の幼馴染みに操られてる気がするよーなしないよーなー」


 確に。微妙な気持になったわたしを見て、陽茉が微笑んだ。


「ね。楽しいでしょう。ドルチェゲーム」


 楽しいと言って良いのか悪いのか迷う感じだ。


「あー、でも、私がネタを出す前に終りかー」


 萌莉先輩が持参のお菓子を配りながら悔しそうに呟いた。


「ならいっそ対全員で勝負ふっかけようかな。よし、そうしよ。はい、スタートぉ」

 

 

 

拙いお話をお読み頂き有難うございます。

此のノリで最後迄進みます。


誤字脱字等気を付けているつもりですが、何か気になる点がございましたら、お教え頂けると幸いです。

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