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一皿目

ノリと勢いだけのお話です。中身は在りません。落ちも在りません。

暇潰しに読んで笑って頂けたら幸いです。

 

 

 

 扉をそっと開けると、日差しの中でひっそりと、人目を忍ぶかの様に其は行われて居た。


「君を一目見た瞬間から僕の心は囚われて居た。君の黒耀石の瞳で天使の様に無垢な眼差しを向けられるだけで心臓が止まりそうに痛むんだ。どうか其の熟れた果実の如く瑞々しい愛らしい唇で、僕の名を紡いでくれないだろうか」


 跪いて一心に愛を囁く青年の亜麻色の髪は、日差しを浴びて金色に輝いて居た。白皙の肌をした顔は彫像の様に整って、今は切な気な笑みを称えて居る。淡い色の瞳は熱を持って潤み、ひたすらに目の前の少女を見詰めて居た。


「ああ、否。贅沢は言わない。僕は遠くからでも君を見詰めて居られれば其で…駄目だっ」


 青年の顔が苦悩に歪む。


「見詰めるだけなんて耐えられない。傍に居させて、触れさせて欲しい。苦しい、苦しいんだ。僕の心はこんなにも君に焦がれて焼け付いて居る。愛しい。君が愛しくて堪らないんだ」


 青年がそっ、と少女の手を取った。自信無さ気な、壊れ物に触る如き手付き。


「どうか…僕の気持を受け取って欲しい。君を、心から、愛して居る」


 青年は少女の白く華奢な指先口付けると少女を見上げた。拒絶を恐れるかの様な揺れる眼差し。少女は花が綻ぶ様な笑みを浮かべると唇を開いた。


「寒い」


 手を掴む青年の手から逃れて、少女は更に続ける。


「気色悪い。空々しい。おぞけが走る。吐気がする」


 最早笑みすら消して少女が言い連ねる。


「何其の台詞。生まれは昭和か大正ですか?其ともヅカマニアか何か?こんな寒々しい台詞如きでぼくに甘いと言わせようなんて、」


 びぃー


 気の抜けた、笛風の電子音を聞いて少女がはっと目を見開く。


「あっ…嘘、待った、今の無しっ!」

「駄ー目ーだっ。待った無し。お前の負けなー」


 電子笛を鳴らした黒髪垂れ目の青年が笑う。少女が不満そうに膨れた。


「うう…くっそぉ…引っ掛かった。こんな初歩的なミスをするなんて…まさか此も作戦!?」

「作戦じゃない。僕は本気で…。僕としても今の勝負は無効にして欲しい。納得が行かない」


 悔しがる少女を後目に立ち上がった亜麻色髪の青年が黒髪の青年に談判する。


「否否、勝ちは勝ちでしょう、否定すんな。私は今の結構良かったと思うよ」


 壁際にいた女性が苦笑して言うと、告白を受けていた少女が顔をしかめた。


「今の寒い台詞が?趣味悪いですね」

「否、ほら、見た目と合ってるしね。王子様から愛を囁かれるなんて、乙女の夢じゃない?」

「腐女子の夢でしょう」

「腐女子馬鹿にすんな。てかさっき宝塚も馬鹿にしたでしょ!?全世界の腐女子と宝塚ファンに土下座して謝りなさい!!」


 女性が少女に掴み掛りかけた所で、やっとわたしは立ち直った。


「て言うか何してんの」


 全力で突っ込む。本音を言えば今直ぐへたり込みたい位脱力して居る。だが、突っ込む。突っ込まずには居られない。こんなだから突っ込み体質とか姉御肌とか言われるのかも知れないけど、此の舵無し泥舟集団は、突っ込み無しでは何処に行くのかわからない。


「あ、ぶちょ」


 告白を受けていた少女がわたしを見て微笑んだ。


「ぶちょも混ざりますか?ドルチェゲーム」

「は?」





拙いお話を読んで頂き有難うございます。


本文中、ヅカや腐女子に対する否定的な表現が入っていますが、あくまでストーリー上の台詞です。

作者はヅカ好きの腐女子で、どちらも否定するつもりは在りません。

万一ご不快に思われた方がいらっしゃいましたら、此の場でお詫びさせて頂きます。申し訳有りませんでした。

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