異世界でゲームマスター始めました。
作品に、チート系が無かったので手掛けてみました。
ちなみに、これも息抜きの一つです。完成はあまり期待しないでください。
さて、昨今、最強で転生とか、チートを貰って転移、だのと言うお話が多い中、私なりにもしチートが使えればと言う話を、少し考えてみたいと思います。
そもそも、チートとは何か、今では色んな意味で使われておりますが、物の初めとしては、ツールによるデータの改造との事ですが、自分の好きな様にデータを弄り、改造し他より有利にしたり、または、かなり不利な状況に弄ったりなど、様々なやり方があるそうです。
始めは、コンシューマーのゲームで、データが弄られて居たものの、最近ではオンラインゲーム等でも見かける様になりチート=不正者と考える人も居るようです。
私もコンシューマーなど個人でプレイする分には構わないと思っています。しかし、使う人によっては、人より有利になった事で優越感を受け、まさに自分が神になったと錯覚してしまう人が他人に迷惑を掛けるのは、私も好きではありません。
だから、何だと言いたい訳でもないのですが、もし、異世界に行ったとして其処でチートが使えるなら…そんな他愛も無い話を始めたいと思います。
私の名前は、紅沙芽桜、今年で19歳のフリーターです。人からは珍しい苗字だねって良く言われるのですが、私はあまり好きではありません。
家族構成は、両親は小さい頃に亡くなり居らず、母方のお爺さんに引き取られ、最近、そのお爺さんすらも亡くなって、お爺さんの為にと頑張ってきた仕事も、今日、辞めてしまいました。
お爺さんは、私に、一本の刀と膨大な遺産を残してくれたのですが、親戚による遺産相続のトラブルにより、叩き付けるように渡し、お爺さんの形見の刀だけでも持って行こうと、屋敷の離れにある蔵に入り、刀を掴んで表に出ると、そこは森の中でした。
私は、結構こう言う物語を読んでいて、振り返ったら入り口が消えてるかも!と思い、振り返ると、家にあったその蔵が、堂々と森の中に建っていました。
「…はぁ?…どうなってんの?」
再度、振り返り森を見て目を擦れど、景色が変わることは無く、ぐぇえええと言う声にビックリして慌てて蔵の中に舞い戻ります。
「…もしかして…」
そう、私はホントにこう言う話をよく読むので、持っている刀を元に戻して、入り口に戻ると、そっと扉を開けて外を見ました。
「…家…無い…」
裏切られた感じですが、やはり外は森のままでした。しかし、私には別に戻る家も丁度無くなってるので、ここで暮らしてみようかと思う事にしました。
ただ事ではない状況なので、一先ず刀は大事に抱いておく事にします。銃刀法違反とか思いましたが、布に包んでおけば問題無いでしょう。外が安全かもわかりませんし?
「…んー、他に何か使えるものあるかな?」
お爺さんがちょくちょく手入れをしていたのか、埃は少なく整理整頓もきっちりしてありました。
見つけた物は、ライターに古新聞とキャンプセットは助かりました。他には、少し大きめのナイフや鉈、ノコギリに釣竿、他にも色々あったのですが、ロッカーくらいの大きさの黒いケースを見つけました。
カギは、蔵の鍵がついた輪の中にあったようで、それで開封すると、中には散弾銃と弾が入ってました。
「そう言えば…お爺ちゃん、猟友会なんてものに入ってたんだっけ…」
偶にイノシシとかクマとか取って来ては食べさせてくれた思い出があります。最初は嫌だったのですが、食べて見ると以外に美味しく、その内、解体のやり方とか燻製の仕方とか色々教えてくれました。
「…」
ふと、頬を伝う水に慌てて目を拭います。
蔵の物をある程度確認が終わると、大きな姿見が視界の端に映りました。シルクの様な綺麗な白い布に覆われた大きな姿見です。
思い切って布を取り外すと、自分の姿が映っています。
短く刈ったショートヘアーな黒髪に、意志の強そうな黒と紫の瞳、体格は小さく女としてのスタイルも残念な結果なのですが、私は別に気にしてません。
お爺さん譲りの紫の瞳。結構珍しいようで普段は、カラーコンタクトを入れていましたが、さっきの泣いたせいで何処かへ片方、落としてしまったようです。
しょうがないのでもう片方も取ってしまいました。ちょっとずれていたのか痛みもありましたし、再度、姿見を覗き込みます。
「…え?何だこれ?」
其処には、紫の瞳をした黒い髪の自分が映っていたのですが、視界の端に名前や年齢、とか色々映っていました。まるで、ゲームのステータス画面みたいです。
「…これってやっぱり異世界転移物なのかな?」
私はそう言う話は大好きです。ふと、≫というマークが目に付き、そこに触れると、自分のステータスみたいなものが出ました。
「…うーん…どう見てもニューゲーム…」
どう見ても、ニューゲームしましたって言うステータスです。低いなぁ…それに、見た事がある表示の仕方で思い出しました。
どうやら、表示形式は、私が仕事でやってたゲーム会社の表示そのままだったのです。
「フェアリーロンドファンタジー…」
最近では良くあるオンラインゲームのひとつで、月額が高く子供にはちょっと敷居の高いゲームなのですが、コアなファンは多く、一人、一つの精霊を育てながら他の人達と協力し戦闘をこなすと言う様なゲームなのです。職業も出来る幅がしっかり区切られており、PT推奨、戦場システムとかもあり、人気なゲームらしいのですが、仕事場は本当に戦場で、デバッグ処理やクレームの担当、イベントの作成管理、それに違法者の摘発や巡回を交代制により回していました。
「まあ、必ずしもそう言う世界って事は…無いと思いますが…」
ふと職業の所を見ると、ノービス≫と言う風に書かれていたのでそこに触れると、≪GMと表示され、私の背中から透明な羽が4対生えて来ました。
「…あーなるほど」
どうやら私は、最強系の転移を体験しているようです。
最強系少女、チートと言うかゲームマスターですもん。