宇宙は豆粒ほどではなかった
電子出版などという言葉に踊らされて歴史小説などをインターネット上で書いているSだが、少年のころから老年になった今までチョコレートのように好物なのはsfであることをだれも知らない。
車いすの宇宙物理学者ホーキング氏は言う,宇宙は最初は一ミリにみたないスケールで始まったと。しかし自称SF的センス抜群のSに言わせると、これはばかな言いかただそうである。なぜならスケール(ものさし)は質量と密接な関係をもっているのであるから、ミリ単位で宇宙が始まったなどと言うのは、まさに詐欺師の言葉だそうである。彼に言わせると、宇宙のサイズは今も昔も変らないそうなのである。彼は私に向かって言う。「だって、そうじゃないか、君、全宇宙の質量がどんなに集まっても空間は豆粒にはならないよ、もし、そこに生きられる生物がいたとしたら、いまとかわらない全宇宙の広さに高温が満ちているだけの話しだよ。むしろ宇宙は広がっていると言うより、縮小化していっているのだよ。つまり物質がどんどん縮小化していっているから、宇宙はどんどん広がって見えるのだが、実は銀河も太陽系も地球も我々もどんどん小さくなっているのだよ。物の大きさは、まさに相対的なものに過ぎないのだと、私は思うね」sはそう言って、立春絞りたての純米酒をごくりと飲み込んだ。