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僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です

あなたが死ねばよかった”と言われて追放された女騎士、戦場で無能な元婚約者を叩き潰して領主として凱旋します

掲載日:2026/03/18

「あなたが死ねば良かったのに!!」


これが実の娘に言う言葉だろうか。


私の母が娘の私に向かって涙ながらにさけんでいる。


隣には母に寄り添って私を睨む父。


そして婚約者。


私エリーナと妹の二人を狙って盗賊が襲い、剣を振るって撃退したのだが、可憐な妹がかすり傷が元で死んでしまったのだ。


無骨な私と可憐な妹。


どちらが可愛がられるか言わずもがな。


我が家は、男爵家だ。


知らせを聞いて、寄親にあたるルジッグ子爵様もやってきたが、


「何を馬鹿なことを言っているのだ。娘が死んで動転しているとは言え、生き残ったものにそのようなことを言うとは!」


「もういいです。そんなふうに思われてまで、家に残ろうと思いません。この場で除籍をしてください」


寄親の子爵様の前でした発言だ。


もう取り消しはできない。もともと私は家族にも恵まれていない。


平民となって生きていく方がよっぽどマシだろう。


平民で我が家に婿入りし、貴族になる予定だった婚約者も私を睨んでいる。


私は生まれつき魔力が強く身体強化魔法が得意な上に剣を振るうのが性に合っていた。


こんな男みたいな女、誰だって嫌だろう。


ルジッグ子爵様の介添もあって私はシルバー王国の王都へ行き王国の騎士団へと入団した。


辺境にある街と違い王都は華やかだ。


それ以上に、見かけではなく努力を中身をそして、その人自身を見てくれた。


私は王国の騎士団の中でメキメキと頭角を表していった。


「エリーナ、おまえ、今度大将軍シェーラ様の直下兵団への入隊を命ずる辞令が下りたぞ。やったな!!」


大将軍シェーラ様。


言わずと知れたシルバー王国、建国の大英雄。


その直下兵団は騎士団全員の憧れの部隊。


大将軍様は、こんな私のことを知っていてくれたんだ。



その後、大きな戦いがおきた。


戦場は、私のかつての生まれ故郷である街の近くだった。


陣地構築のため、街から人夫がやってきた。


その中にかつての元婚約者がいた。


だけど、もう私には関係ない。


ところが、向こうはそう思わなかったのだ。


私が騎士の1人としているところを見つけると、媚びをうるような笑顔でやってきた。


「エリーナ・・・・俺のために立派になって」


反吐が出る。誰があなたのためよ。


だけど、元婚約者は勝手に勘違いして、人夫の中では自分が騎士様と恋仲だと言いふらしているらしい。


「おい、そっちの資材はこっちに回せ!俺の指示で動け!」


元婚約者は、人夫たちに大声で指示を飛ばしていた。


だが、その配置は明らかにおかしい。


補給も退路も考えられていない、ただ目先の作業だけのものだ。


「……その配置では、敵が来た場合に退路が塞がれます」


思わず口にすると、


「は?お前は戦うだけだろ?現場は俺たちに任せておけ」


鼻で笑われた。


——結果、その陣地は一時的に混乱し、再配置を余儀なくされた。


かつて男爵家に婿入りし、貴族になるはずだった男。


その幻想から未だ抜け出せていないのだろう。


しかも今は、人夫の中で多少顔が利くらしく、妙に偉そうに振る舞っている。


——だが、その実。


もう後がないのだ。


だからこそ、あの男は私にすがりついてくる



そんなことよりも、私にとっては目の前の敵に集中したい。


大将軍シェーラ様の号令一下のもと突撃をするのだ。


あんな小物に、心を割く余裕なんてないのだ。


戦場は、刻一刻と動いている。


正直、私には戦略は分からない。


だが、大将軍様の馬が動くときそこが勝ち筋だということだけは、体が理解している。


大将軍シェーラ様からも、あなたに指揮官を任せるのは無理そうねと言われたことがある。


でも構わない。指揮官よりも私は大将軍様の跡を追って抜ける方が性にに合っているのだ。



ついに来た。


突撃準備、用意の号令がかかる。


大将軍様の戦術眼から見て、突撃をする時期が来たのだろう。


大将軍様の突撃の仕方は異様だ。


いざ、突撃開始をする時、何もおっしゃらずに、静かに馬を走らせる。


あまりの自然な動作に逆に動揺する位だ。


だから、私たち直下兵団のものは、大将軍様の馬が動き出すのを一心不乱に見つめている


そして、突撃。


一万を超える軍勢の中に、直下兵団、約百騎が突撃する。


先頭は鉾を振るう大将軍シェーラ様。


そしてその後を私たちはただただ駆け抜けるだけだ。


大軍といえど隙がある。


その隙を見つけ出し、一気に突撃し、相手の大将を討ち取ってしまうのが、大将軍シェーラ様のいつもの戦法だ


私たち百騎は、その勢いをつける役目と言っていい。


戦いは終わった。


こういう時、不思議なのは、私たちは死者どころか、傷を受けることも少ない。


これが私たち直下兵団の醍醐味と言って良いのだ。


この爽快感を味わるのは、私たちだけだ。



戦いが終わって。



大将軍シェーラ様から、


「エリーナ、よく頑張ってくれました。直下兵団は一旦解散します。女の身での活躍、何か望みはありますか?」


私の望み。


私の望みは——ただ一つ。


私の生まれ故郷の街に、堂々と帰ること。


その望みは、すぐに叶えられた。


私の帰還は、すぐに街に広がった。


それを聞いた家族は、相変わらずだった。


「あの子がこの街へ帰ってくるらしい。」


「あんなのでもいないよりはマシよね」


「除籍したが、戻してやると言えば泣いて喜ぶだろう」


私は、生まれ故郷へ、領主として凱旋した。


その際、元々の統治者であったルジッグ子爵家の養子となっている。


それは、すべて大将軍シェーラ様のお計らいによるものだった。


女子爵、かつ、領主として統治するにあたり、優秀で私のことを愛してくれる婿も得ている。


「エリーナ、俺のために頑張ったんだろう?今のお前ならけっこんしてやる」



「申し訳ありません。私はすでに結婚しておりますので」


「それに——私を捨てた方を、迎え入れる趣味はありません」


家族にも、


「“死ねばよかった”と仰った方に、娘として尽くす義理はございません」


そっと私の夫が私を抱きながら、


「なるほど……大将軍シェーラ様は、すべて見通していたか」


夫は静かに言った。


「家族と元婚約者に告げる」


一歩前に出て、冷たく続ける。


「これ以上、エリーナ・ルジッグ子爵に関わるな」


「——さもなくば、消される」


その言葉に家族と婚約者は膝をついて震え上がった。


家族は、かつて女領主を捨てたことで没落。


婚約者もまた、婿入りで貴族になれるはずだと吹聴していたため、今では誰からも相手にされていない。


その後、彼らが再び私の前に姿を現すことはなかった。




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