09S.ハマーの受難
「新サキュレス物語」上で、度々語られた「インキュレス・ハマー」の受けた「暴行事件」について、今回この世界が、出現したことにより、今までに漠然とした表現でしか、無かったものが、今回漸く、具体的な内容として、ここで紹介されることに、成りました。
それは「ハマー」が、若い頃の出来事でした。彼は「淫魔界」では「優秀な淫魔」として、称えられた「サキュレス・ミーシャ」の「新しい配下」として、選ばれた頃の出来事でした。彼は「ゼビスの人類世界」に、潜んで居る、一般的な「インキュレス(男型淫魔)」でした。
彼の「デュデス(役割)」は、人間女性に、取り憑き、彼女の「バイタリティ(生命力)」を、奪いながら、弱体化させて「サダクション(誘惑)」を、行うことでした。そして、彼女を「右側神の世界」に「デボーション(帰依)」させて、二度と「ゼビスの補充化要員」に「成らない人類」に、変えることでした。
その為「ハマー」は、今日も「人間の若い女性」に、取り憑き、彼女が就寝中に「淫魔の夢入り(エンタリング)」を、行いました。それは眠る女性の、夢の中に入り込み、彼女との「秘密行為」を、することにより「淫魔の栄養源」で有る、人間の「バイタリティ」を、奪う行為を、言いました。そして「肉体的、精神的」に「弱体化」された彼女を「サダクション」しました。
この「淫魔の夢入り」行為のことを、淫魔は「エンタリング」と、呼びました。まだ若い「ハマー」は、自分に与えられた「唯一のデュデス」だったので、一生懸命に、それに励みました。彼は、或るときに、それをして居る最中に、敵勢力に見付かり、いきなり「彼の本体」が直接、暴行を受けました。それは、とても酷い仕打ちでした。
その日、或る「若いセントラルの男」が、居ました。その日の彼は、とても機嫌が、悪いときでした。彼は、同じ仲間で有る「雷撃使い」の4人とつるんで「自分の縄張りの、パトロール」をしました。今晩は自分が、余り出向か無い場所を、巡回しました。その辺は、お金持ちが多く住む「エリア」でした。彼等の周りには、比較的大きく、新しい「マンション」が、たくさん並んで居ました。中には「古い物件の物」も、多く有りました。
「その男」の「淫魔探知」が、反応しました。あの「大きなマンション」の中で、金持ちの若い娘が、淫魔に「エンタリング」されて居ました。彼が、歯軋りしながら言いました。「チキショウ。何処かの淫魔野郎が、金持ちの娘を、凌辱して居るぞ。全く許せない奴だ。何処に繋がって居るのだ。」と、彼が言うと、その大きな「マンションの1室」から「細い糸」のようなものが、彼等には見えました。その糸の元に「淫魔」が居て、糸の先まで「幻体」が、出向いて行き「淫魔の特殊能力」で有る「エンタリング」を、行って居るのです。「ゼビスのセントラル」には、そのように見えました。
「これから、お楽しみの処を、踏み込んで〝淫魔野郎″を、叩きのめしてやろう。」4人は「意地の悪い顔」をして「糸の出処」を、辿りました。すると「古びた一軒」の「木造アパート」に、辿り着きました。4人は、笑いました。そして「その男」が、言いました。「これは、若い淫魔野郎が、やって居るのだな。俺達と同じだ。これから二度と、出来無いように、とっちめてやろう。」と言うと、彼等は、その「アパートの扉」を、開けて中に、すんなりと入りました。それも「セントラルの能力」でした。
或る部屋の前に立つと、彼等の「淫魔探知」が、激しく反応しました。淫魔は、この部屋に、潜んで居ました。彼等は、鍵の掛かった、そのドアを、すんなり開けると、中に入りました。「部屋の中」は、綺麗に掃除されて、片付けられて居ました。しかし彼等に取っては、関係の無いことでした。奥の部屋には、1人の若い男が、股間を、反応させながら、静かに横たわって居ました。それが「淫魔の〝エンタリング″状態」でした。
すると「その男」が、その「淫魔の股間」を、思い切り、踏ん付けました。しかし、その位では、その状態が、解除されることが、有りませんでした。今では、4人全員で、その「淫魔の身体」を、蹴り続けて居ました。彼は「サンドバック状態」でした。すると「その男」は、淫魔の「身体の上体」を、起こすと「彼の顔面」を、思い切り殴りました。それを見て居た「3人のセントラル」も、真似をして、彼の上体を起こしながら、思い切り殴り続けました。
すると、やっと「エンタリング状態」が、解除されたようで「驚いた淫魔」が、血だらけに、成りながら「反撃」を、開始しました。しかし「多勢に無勢」でした。彼は、ボコボコにされたままでした。「その男」が、笑いながら言いました。「こいつは、殺さなくて良い。だが二度と出来ないようにしてやれ。そしてやったことを、後悔させてやるのだ。」と、言うと暫く「暴力行為」が、続きました。
淫魔の口の中が切れて、血を吐いて居ました。所々に「彼の口から、吐き出された」と、思われる「白い嘔吐物」が、その辺りに飛び散って居ました。1番大量に、出て居たものが、時々「ビクンビクン」と、動き始めました。彼等は、それでも止めずに「淫魔」を、殴り続けました。
すると「セントラル」の1人が、気付いたように、それを見て、驚きました。その「白い嘔吐物」が、高く盛り上がって「吊るされたシーツ」のように「ヒラヒラ」しながら、暴れて居る「若いセントラル」に、襲い掛かって来ました。それは、霧状だったので、取り押さえることが、出来ませんでした。
すると「セントラル」の1人が、突然「幽霊が出た。」と、騒ぎ出しました。それを、聞いた「その男」も、それを見ると、驚き「本当だ。幽霊が居る。」と、言いながら、彼等は「パニック状態」に、陥りました。そして慌てて「淫魔の部屋」から、出て行きました。「セントラル」で有る、彼等も「人類」と、同じだったので「幽霊が苦手」でした。すると、その幽霊は「セントラル」が、居無く成ると「彼が、吐き出した」と、思われる「白い嘔吐物」を全部、自分の体に回収すると「人型の姿」に、成りました。そして再び、その淫魔の中に、戻りました。
こうして、そのときの「淫魔野郎」で有る「ハマー」は「命拾い」をしたのです。その後、アパートの住人が、騒ぎを知って、倒れて重症と成った彼は、病院に搬送されました。そして彼は「九死に一生を得た」のです。彼が、暴行を受けて、吐き出した「白い嘔吐物」は、彼の「アニマス(根源)」を、覆って居る「エクトマ(幽体)」が、千切れて体外に、飛び出したものでした。それは淫魔に取っては「重度の負傷」を、意味しました。人間で言えば「臓器破裂」のようなものでした。彼は、そのような、とても「酷い暴行」を、受けたのです。
そのとき「ハマー」が、病院のベッドに寝かされて居ると、誰も居ない筈の、深夜の「彼の病室」には、彼の鼻や口から抜け出て来るように「白い人型」をしたものが、出るように、成りました。それは「深夜の暗い病室」に「人型」と成り、近くの椅子に座り、彼を見て居ました。それが「数日も続く」と、その人型は、いつの間にか「女型のような姿」に、変わりました。それが「ハマー」が、これから、持つことに成る「7体のエクトマスの筆頭格」で有る「キャミ」の誕生でした。