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182 松見草ー1

小説と関係ないけど毎日が暑すぎて脳みそに支障が出そう。

いや、犬猫いるのでエアコンガンガン使ってますけどねw

 わたくしがエメリア殿下が主催するお茶会に出席することになったのは、シャルル様の婚約者を密やかに選定するためのものだと聞いたからだ。

 シャルル様はティオル殿下の側近候補の中でも確定枠であると言われているため、その正妻ともなれば側妃と同様に社交界でわたくしの側近となるべき存在として扱われる可能性が高くなる。

 だから品定めという意味を込めて参加というか、偶然時間が出来て様子を見に行くということになったのだ。

 今回集められた令嬢はシャルル様の妻となってもおかしくない家格の者であり、現時点でザクトリア公爵家に対して何かしらのアプローチを行っている家の令嬢だ。

 そこにはもちろんミンシア様も含まれているのだが、彼女の狙いは正妻ではなく愛人。

 お茶会の意味を理解したら行動を変える可能性はあるが、今のところは普通にエメリア殿下のご機嫌を取る令嬢の1人として無難に振舞っている。

 建前上わたくし達もお茶会をしており、早めに切り上げる事になったのでエメリア殿下のお茶会に顔を出したことにするので、側妃候補達と一緒に顔を出すことになった。


「まったく、シャルル様の正妻を決める事は重要だけれども、オル様の側近候補として動くことが多くて恋人も作らなかったのに、家の事情を考えて正妻を決めると言うのもなんだか気の毒な話に思えてしまいますわね」

「仕事に一生懸命なのはいいのですが、恋人を作って異性への耐性を作っておくことも重要なことですからね」


 前世風に言えばハニートラップに引っかかって国の重要情報を流しては大問題になるため、側近候補は早めに異性に対して耐性を付けておくことも必要なのだ。

 だが、シャルル様は側近候補として仕事に熱心すぎて女性に対して見向きもしておらず、耐性を付けるどころの話ではなかった。

 しかしながら結婚しないわけにはいかないので、政略結婚をするわけになるのだが、女性に耐性がないシャルル様のためにエメリア殿下自らが令嬢を見定める事にしたらしい。


「他の側近候補の方はしっかりと恋人を作ったりなさっていたのに、シャルル様はねえ」

「真面目すぎるところがあるから、ティオル王太子殿下のお世話に一生懸命だったのでしょうね」

「それは良いことかもしれませんが、結局のところ政略結婚をして子供を作る事を考えると、早めに女性に慣れておいて欲しかったですね」


 話す側妃候補達にわたくしは笑みを浮かべて付き合いながら、それはやっぱり攻略対象者だからなのではないかと思ってしまう。

 ルートに入るのであれば恋人がいるという状態は良くないだろうし、ルートに入ればヒロインが恋人になる。

 まあ、ヒロイン役であったはずのロクサーナ様は結局のところ誰のルートにも入らず、叔父が用意した屋敷に滞在して監視されている状態になっている。

 わたくしの計画ではそのうち懐妊するのだが、その際に魔力量が減るのかを調べるのが目的だ。

 今まで子供が出来るたびに魔力量が減っていたのは相手がバスキ伯爵家の人間だったからなのかの確認なのだが、一応ロベルトさんも相手をしているのでどちらの子供を懐妊するかはわからない。

 本来は叔父にだけ相手をさせる予定だったのだが、ロベルトさんを気に入った叔父が相手をすることに許可を出したのだ。

 まあ、叔父が父親の場合で懐妊しても魔力量が減少した場合、ロクサーナ様の体質という事になるのだが、それが乙女ゲームのヒロインとしての特性からくるものなのかも実は気になっている。


「あ、ベアトリーチェ様。会場に到着しましたよ」

「では参りましょうか」


 シャルロット様がそう言って会場になっているサロンのドアの前に立っている騎士に声をかけると、騎士が中に入り確認を取ってきてわたくし達はそのまま中に案内される。


「ベアトリーチェお義姉様方、ようこそお越しくださいまた。今席を用意させますので少しお待ちいただけますでしょうか?」


 入ってすぐにエメリア殿下がそう言って立ち上がり礼をしたため、他の令嬢も同様に立ち上がって頭を下げる。


「急にお邪魔してしまったのはわたくし達の方でしてよエメリア殿下。用意は焦らずともよろしいですわ」

「そんな、皆様をお待たせするわけにはいきませんわ」


 頭を上げてそう言ったエメリア殿下の言葉に、数名の令嬢が頭を下げたまま立ち位置をずらしわたくし達が座れる場所を用意する。

 それにはミンシア様も含まれている。


「皆様、そのようにかしこまらずにいてくださって結構ですわ」


 わたくしのその言葉にやっと全員が頭を上げる。


「準備が整うまでこちらの席によろしければお座りください」


 令嬢の1人がそう言ったことを皮切りにわたくし達は空けられた席に座る。


「ありがとう」

「ベアトリーチェ様のお役に立てるのなら何よりです」


 そう言った令嬢は大人しく後ろに下がりメイド達が準備を整えるのを待っている。

 他の側妃候補も席に着いたところでわたくしはエメリア殿下に改めて視線を向け、その後にぐるりと座っている令嬢と立っている令嬢に対して視線を巡らせた。


「随分と粒ぞろいのご令嬢が揃っていらっしゃいますのね。けれどわたくしの気のせいでしょうか、ここに揃っている皆様はシャルル様に対して何かしらのアプローチをなさっている方ではございません事?」

「まあ、流石はベアトリーチェお義姉様ですわ。本日はシャルル様の伴侶としてどなたが相応しいか、あたくしが見てみたいと思って開催いたしましたの」

「まぁ、そうでしたのね。確かにシャルル様はオル様の一番の側近になる可能性が高い方ですもの。その正妻となる方でしたらわたくしも興味がありますわ」


 にっこりと交わされた会話に、招待された令嬢達は今日のお茶会の趣旨を理解し、お互いに鋭い視線を交わし合ったが、次の瞬間には何事もなかったかのように笑みを浮かべている。

 その中で、ミンシア様だけが笑みを浮かべつつも顔色を若干悪くした。

 それもそうだろう。

 愛人を目指している彼女にとってはこのお茶会で本当にしなければいけなかったのはエメリア殿下へのご機嫌取りではなく、参加している令嬢達へのご機嫌取りであったのだ。

 けれどもわたくし達が現れたことによって最優先されるべきことはわたくし達へ気を使う事になった。

 ミンシア様は優秀ではあるけれども、わたくし達に気を使いながらエメリア殿下の機嫌を変わりなく取り、さらに参加している令嬢達へ機嫌を取るような真似は出来ないだろう。

 そうして少ししてメイド達が席を整えると、シャルル様の正妻候補を決めるためのお茶会が改めて開始された。

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こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。

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