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136 洛神珠ー17

簡易登場人物紹介

◆クラリス=アーヴェン=ロッテンマイヤ

侯爵令嬢(15)(登場時1年):側妃候補(様子見中)

一人称:わたし。薄紫色の髪に紺色の瞳。

 あの後はロクサーナ様達に絡まれることもなく、無事に入学式は終わったのだが、1年の高位貴族クラスではちょっとした騒動が起きたらしい。

 もちろんその中心はロクサーナ様で、あろうことかエメリア殿下の隣の席に座ろうとして窘められ、「友人なんだから隣に座るのはおかしい事じゃない」と発言したらしい。

 もちろんエメリア殿下はすぐさま友人だと認識していないので勝手な事を言わないで欲しいと否定したそうだが、じゃあこれから友人になれば何の問題もないと斜め上の発言を返されたそうだ。

 確かに学生時代に新しく友人を作る事は珍しい事ではないが、非常識な令嬢を友人にしようとする姫はほぼいないのではないだろうか?

 そしてその騒ぎとは別に、ミンシア様がジョセフ様に接触を試みたらしい。

 もっとも、それはあくまでもジョセフ様に好意を示すその他大勢の令嬢とほとんど変わりない様子ではあったそうだが、態度が他の令嬢とは違い妙に親し気で気味が悪かったというのがジョセフ様の発言だ。


「常識外れではありますが、事あるごとに注意しなければいけないほどマナーをわきまえていないわけでもありませんし、あくまでも学生のうちの交流という範囲でなら許容できる行動ではありましたね」

「確かに、ロクサーナ様の発言内容に比べればミンシア様の行動は問題ないように思えますが、まるでジョセフが自分の味方になる事を疑っていないような感じでしたわね」

「それはそれで面倒だな。実際のところその令嬢は公爵夫人として使えそうなのか?」


 ティオル殿下の言葉にジョセフ様が間を置かずに首を横に振る。


「わかっていると思いますが無理ですね。貴族の手本となるべき公爵夫人が常識外れでは話になりません」

「その常識外れも新たなる流行を生み出す常識外れなら話は別だろう?」

「そういった類ではないことはわかっているでしょう」


 疲れたように言うジョセフ様に、昼食に集まっている全員が同情の視線を向けた。


「それに、ぼくの愛人の座を狙っている令嬢も多くいますが、それを差し引いても関わり合いになりたくはありませんね」

「エメリア殿下はロクサーナ様と接触しないように出来そうでして?」


 溜息を吐きながら言ったジョセフ様から話題を反らすために、わたくしはエメリア殿下に話しかける。


「友人達がさりげなく遠ざけるようにしてくださっていますわ。同じクラスではありますが、敢えて接触しようとしない限り関わり合いになる事はほぼない予定ではありますが、あちらも諦めが悪いと言いますか……」

「グループ行動のたびに絡まれそうという事ですの?」

「ええ……。それにアーシェン様が特に気にしているようで」


 その言葉にドキリとしてしまう。

 デビュタントでダンスを踊ったファルク様のルートに入っているのであれば、アーシェン様は悪役令嬢の役割を担う事になる可能性が高いのだ。


「気にしているとは、どのような意味ですの?」

「いえ、あたくしの気のせいかもしれないのですが、あの人見知りのアーシェン様が対抗意識を燃やしているように感じてしまいますの」

「まあ……」

「だって、あのアーシェン様がロクサーナ様に対して、卑しい行動をするなんて、家名に泥を塗るような真似、とてもじゃないけれども褒められませんね。なんておっしゃいましたのよ」

「それは、アーシェン様らしくありませんわね」

「ええ、あたくし達も驚いてしまいましたわ」


 エメリア殿下の言葉に頷きを返しながらもチラリとジョセフ様を見ると、ジョセフ様もちょうどわたくしを見ていたようで視線が合う。

 その言葉はアーシェン様が悪役令嬢になった場合、ヒロインと初対面の際に発する台詞なのだ。

 もちろんシャルル様ルートとファルク様ルートでその台詞を言って登場するタイミングは異なる。

 けれども共通することはその発言をきっかけに、アーシェン様がヒロインをいじめ始めるという事だ。

 アーシェン様が悪役令嬢になった場合、いじめは陰湿なものとなり、正面から敵意をぶつけたり物理的に攻撃したり、地位を使用して圧力をかけると言ったものではなく、精神的に攻撃をするのだ。

 代表的なものとしては、ヒロインの悪評を広める事なのだが、ロクサーナ様の場合すでに悪評が広まっているので微妙な気がする。


「でもそれに対するロクサーナ様の言葉も驚きましたわ」

「何ておっしゃいましたの?」

「卑しい行動って、エメリア殿下の友人になりたいっていった事ですか? それのどこが卑しいんですか? 友人を作ろうとするのを邪魔する方がよっぽど卑しい行動だと思います。とおっしゃいましたのよ」

「正論ではありますわね」


 もっとも、双方ともに友人になろうとしているのを邪魔するのは卑しい行動かもしれないが、片方が拒絶しているのに無理に友人になろうとするのを邪魔するのは卑しい行動とは言えない。

 エメリア殿下は友人だと認識していないとはっきり言ったのだから、それを無理にこれから友人になればいいと言っているロクサーナ様に問題があるともいえるのだ。

 まあ、時間をおいて次第に友情が育まれることもないわけではないので、なんというか微妙なところではあるし、強引な部分も性格や個性と片付けられるものでもある。

 王女であるエメリア殿下に自分の個性を押し付けていいのかは、まあ、別問題ではあるのだが……。

よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。

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