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ラミィのおもちゃ箱  作者: らりるらるらら
6/33

6

「まいどありー。」

最近ネオン街ではペットとしてメダカが流行っている。ブームの火付け役となったのは邪布。ブームの裏側には血の滲むような努力があったが、それはまた別のお話。

「夏霧警察だー!」

入口を蹴り破って警察が押し入った。

「ほぎゃー!」

「無許可でメダカの養殖をしてるらしいな!責任者はお前か!」

「きょえーっ!」

邪布は店の奥へ逃亡した。

「あ!コラ待てー!」

追い掛けた夏霧の目に飛び込んできたのは、養殖場と呼ぶにはあまりにもゴミが散乱する劣悪な環境だった。

大量の水槽がそれを上回るスクラップで囲まれている。

「こんなゴミを何に使うんだ?」

何やら音が聞こえるのでそこを目指すと。

畳の上で茶黄が寝転がってテレビを観ていた。手元に消しカスが大量に入った袋がある。まさかあれがメダカの餌かと見ていると、

「あ~、バイトだり~。」

と、消しカスを貪った。どうやらこいつのおやつだったらしい。

「あいつは後回しだ。」

更に奥へと進み、扉を開いた。

「うわぁ。」

そこは、さっき以上のゴミ屋敷だった。足の踏み場が無いし、破いた封筒やお菓子の袋が山の様に積まれている。その一角で、邪布は布団にくるまって震えていた。

「何だこのゴミ屋敷は。」

「これはゴミじゃないもん!いつか使う物しか置いてないもん!」

「縄文式土器とかいつ使うんだよ。」

「それは...餌やりとか?」

その時、別の扉が開いて茶黄が入ってきた。

「店長ー、休憩入ります。って、おわ!警察だ!あーあ、遂にバレたか。捕まるんだろ俺ら。いいよ、罪悪感あったし。」

よく知らん間に観念した。

(こいつ諦めが早いな。)

「あーあ、皆死ねばいいのに!」

自暴自棄になった茶黄が両手を上げて叫んだ。

(態度悪いなこいつ。)

「さあ、お前も罪を認めろ !」

邪布の顔が悪人面に変貌した。

「しょーがねーなー。そうだよ。メダカを養殖して闇市で売り捌いてたよ。」

「何故メダカなんだ!」

「メダカはなあ、儲かるんだよ!」

「はい逮捕ー!ピピー!」

こうして悪徳メダカ販売業者はお縄についた。しかし、これはまだ氷山の一角。夏霧警察の夜はまだ明けない。



ピッ。

スタッフロールが流れたところでモニターを切った。

「どう?今回のPVは。」

「師匠全然駄目です!私が急ぎ作り直します!」

癒論がデータを持って走り去った。

「うーん、何が駄目だったんだろ?ねえ、茶黄さん。」

茶黄は縄文式土器に入った消しカスを食べながら答えた。

「メダカは儲からんやろ!」

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