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配信を終えた友隣は冷蔵庫を開けて思った。
(ご飯作るの面倒だなー。洗濯は昨日したけど掃除は最近やってないなー。そうだ!家事代行雇おう!)
翌日。
「来たよー。」
「げ。深流先輩。どうしたんですか。」
「どうしたもこうしたも、家事代行のバイトなんだよ!」
『ヤバ梨ラブ』と書かれたTシャツの袖に、家事代行業者のワッペンが付いている。
「チェンジで。」
「いいよー。」
深流の背中から無数の曲線を描く鋭利な骨が飛び出した。
「さ、行こう。」
自信満々な深流。
「チェンジは!?」
「第二形態になったよ?」
「違うよ!他の娘に替われって言ったの!」
「第三形態もあらよ!」
「だからー!」
「じゃあはい。」
家事代行のワッペンを友隣に付けた。
「え?」
「深流は煎餅でも食べてるから終わったら教えてねー。」
そう言って、本当に煎餅を食べながら居間で寝転がった。
友隣はどうする
『戦う』『逃げる』『泣き寝入り』
→『戦う』
友隣の攻撃
深流に1ダメージ
深流は棒寒天を使った
友隣に999のダメージ
友隣は倒れた
「なんてこった。こうなったらカスタマーサービスに電話して...。」
「はーい!お困りの様ね!」
「惚莇さん!何処から来たの!」
「どうしても勝ちたいなら秘策を授けよう。」
「秘策?」
こうして森にやってきた二人。
「深流は虫が嫌いなんだ。特に芋虫。そしてこの森には大きな芋虫が生息している。」
「なるほど!よーし、芋虫を見付けて深流先輩を追い出すぞー!ん、あれは!」
「ブーン、バリバリバリ!」
「芝刈機!?」
「いや、遮音だよ。ふるさと納税にでも来たんだろう。ほっとこう。」
「そうなんだ。あ、見て!フンコロガシ!」
フンコロガシが何かを転がしていた。
「くそ!密猟に来たらこれだ!いつもこう!」
転がされているのは茶黄だった。
「バリバリバリ!」
「ギャー芝刈機に巻き込まれるー!ギャー!」
「バリバリバリ!」
「行こう。」
「うん。」
暫く歩いて大樹の前に着いた。
「この樹の付近でよく見付かるらしいんだ。」
「へぇ。大きな樹。」
近付くと上から複数の洗濯機が落ちてきた。
「まずい!野生の洗濯機だ!囲まれた!」
惚莇が叫ぶ。
「洗濯機って野生にいるんだ!電源はどうなってるの!」
後ろから近付く洗濯機に気付かず、友隣は洗濯機に丸呑みされた。
ジャーッ!ゴッゴッゴッ!
「水が!回転が!」
「今助けに!」
その時、惚莇はあるものと目が合った。
遥か彼方に自分達を見据える巨大な芋虫がいた。
「ふ~。なんとか捕まえたね。」
「死ぬかと思ったよ。でもこれで。」
芋虫を前に持ちながら部屋に上がる!
「深流先輩!覚悟!」
しかし、そこに深流の姿は無かった。
「いないねー。」
部屋の中を見回していた惚莇がテーブルの上に置き手紙を見付けた。友隣も覗き込む。
『飽きたから帰ります 深流』
「...。」
「これは?」
大きな芋虫を見た。
「かえしてこよっか!」