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「あれ~邪布たん冷蔵庫に入れてたおやつ知らない?」
「おやつ?またガトーショコラ?」
「今日は大判焼。」
「大判焼?何それ?回転焼みたいなもん?」
「そだよ。地域によって呼び方が変わるんだって。って、この反応は知らないっぽいじゃん。」
「知らないよ。僕はそんな食い意地張らんから。」
「そうなんだけどさー、さっき買ってきたばっかだし、ちょっと本読んでただけで無くなるのはおかしいじゃん。ね、一緒に探してよ~。」
邪布の目が細くなる。
「またそうやってセクハラする気だろ。読めてんだよ!」
「違うって!見てよこの冷蔵庫の中を!ここに入れておいたんだから!」
ラミィが冷蔵庫を開いた瞬間、二人は冷蔵庫の中に吸い込まれた。
「いてて。何だ?」
周囲は石造りの美しい街並みが広がっていた。
「凄い。ヨーロッパみたいだ。」
「ヨーロッパ?」
ラミィが首を傾げる。
「ノンノン。ここは剣と魔法とお菓子の世界。」
いつの間にか後ろに立っていた、魔法使いの服装の友隣がそう説明した。
「お菓子関係なくね?」
「お菓子はパワーなの。」
「?」
邪布の頭の上に『?』が踊る。
「それより、私の大判焼返せ!」
「ぷっ!」
「うわ!ガム吐いてきやがった!」
「この今川焼はあたしのものだよ。」
「生意気な!こうなったら力ずくで!」
「ちょいと待ちな。こっちには剣のスペシャリストがいるのさ。先生!」
パチンと指を鳴らす。
地面から召喚されたのは大剣を重そうに引き摺る空河内。
「何やってんだ?」
「重いよ...。」
「あら可愛いスペシャリストだこと。ほほほ。」
「あ、そう言えば脇差があった。えい。」
「ギャー!刺された!」
「ラミィ!」
「おお!我強い!」
くるっと振り向いた。
「そのお菓子、我に寄越せ!」
「謀反!あ、あたしに楯突こうっての!」
空河内は無言で脇差を振り回す。
「こうなったら!魔法のスペシャリスト!カモン!」
シュワッ!
「鈴鉄降臨!見るがいい!私の爆発魔法!」
白い光が一帯を包んだ。
「あ、やばそう。」
冷蔵庫から出てきた二人は黒焦げだった。
「何だったんだ。」
「さあ。夢か?鼻にアスパラさして。」
「フォークでいい?」
ブスッ!
「いてーッ!」
ごん!と壁に頭をぶつけた拍子に棚が開いて上から紙袋が落ちてきた。
「あ。」
「それ、もしかして。」
邪布が怪訝な目で見る。
「あー、そう言えばすぐ食べるから冷蔵庫に入れなかったんだ。怒らないでよ~。邪布たんの分もあるから。」
「あんこ?カスタード?」
「チョコとカスタード。好きな方どうぞ。」
ラミィはそう言って紙袋からお好み焼きを出した。




