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「いらっしゃーい。」
ここはしがないコンビニ。
私がここに来た理由は一つ。
お菓子コーナーで屈み、陳列されたお菓子を手に取っては手触りや成分表示を確かめて元の場所に戻す。
そして、たまに戻さず服の中に隠す。大きな鉄腕の死角でカメラには映らない。完全犯罪だ。
(ふっ。チョロいな。)
本日の収穫はこれでいいだろうと立ち上がった時、こちらを見る人影に気付いた。
「おやおやおや?トップアイドルの遮音様ともあろう御方が、何をしていらっしゃるのかなぁ?」
「ハッ!貴様は!万引き王ラミィ!」
「バレたら万引きじゃないんだぜ坊や。」
「くっ...殺せ。」
「そう焦るな。うちら引きラーの間にも情けはある。ここでライバルを減らすのは容易だが、同士を失うのは胸が痛む。」
「何が言いたい!」
「どちらが多く盗めるか、いざ尋常に勝負!」
「もしもし警察ですか?うちの店に万引き犯がいるので捕まえてください。」
「何ッ!しまった!店員に通報された!」
「お前が万引きなんてしてるからだろ!」
「人は悪い誘惑には勝てないのさ!未成年の飲酒もタバコも、駄目だと言われるから余計にやりたくなるチェケラッ!」
「腐ってやがる。」
「大変です遮音様!」
コンビニに新たな人影が突撃してきた。
「どうした楽阿弥!」
「女性に万引きさせるなとフェミから苦情が来てます!」
「ええい!不倫や浮気をテーマにしたドラマにクレームをつけて奴等の精神力を削げ!探偵ものアニメも女性が犯人の回の放送を止めさせろ!女性の芸能人やタレントも性的な目で見られているからテレビに出せない様に手を回せ!」
「や、やるんですね!」
「戦争じゃー!女性差別を大義名分に、女性優遇をぶち壊して奴等に泣きべそかかしちゃる!行くぞー!まずはテレビ局じゃー!」
「らじゃー!」
こうして私達は全員男になった。
「っていうのを今度編集に見せるんだけど、チンチンバリカタはどう思った?」
「え?ラミィお前元から男だろ?」
「え...。」