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ラミィのおもちゃ箱  作者: らりるらるらら
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「ぺこ太郎お手。」

ぺこ太郎は右手を深流の手の上に置いた。その瞬間、深流の手が閉じてぺこ太郎の手をがっちりホールドした。

笑顔の深流。

嫌な予感。

その直後、足を軸にしてぺこ太郎をぐるんぐるんと振り回し、外に放り投げた。

「ジャイアントスイングだよ!」

満足げにプロレス漫画を広げ、次の技を品定めする。

暫くして、来客があった。

「こら!またぺこ太郎が外に落ちてたわよ。」

「伝電ちゃんこれは躾なんだよ。」

「ほら見て。ぺこ太郎驚き過ぎて顔が徳川家康みたいになってるわ。」

「キモいな。」

「でも相棒でしょ。大事にしなよ。じゃ、うちはこれで。」

帰ろうとした伝電の前にぺこ太郎が回り込み、足に頭をすりすりした。

「あれ?壊れたのかなぺこ太郎。あ!そうだ!頭をハンマーで叩けば元に戻るよ!」

さっとハンマーを手に取った深流を見て、ぺこ太郎は外に逃げ出した。

「待ちやがれとっとこぺこ太郎!」



それから数日。

未だにぺこ太郎が帰らないので伝電に電話をすることにした。

「ねぇねぇ伝電ちゃん、ぺこ太郎見なかった?」

「ぺこ太郎ならうちに来てるよ。友隣とゲームしてる。よっぽど酷い扱いしてたんじゃないの?」

「夜な夜なプロレスごっこしてただけだよ。」

「色々と、突っ込みに困るな。」

「ぺこ太郎返してよ!」

「一ヶ月もすれば恋しくなって帰るでしょ。今はそっとしてあげたら?」

「わかった。ラミラミとプロレスごっこしてくる!」

「プロレスごっこは止めなさい!」



それから十年の月日が経過した。

「ラミラミプロレスごっこやろー。」

「すいません今バネのオモチャに嵌まってて。階段から落としていくのが楽しいんですよー。」

「何それ?」

「え!最近流行ってますけど知らないんですか!」

「深流はプロレスさえあれば何でもいいんだよ。」

「流行り廃りの外の人!えーと、邪布が待ってるんで、バイナラ!」

「あ!逃げるな!」

一人取り残された深流は何か足りない様な、心の空白を感じていた。

「うーん、何か、いつも私の隣に何かいた様な...。」

そこへ、友隣とぺこ太郎が通りかかった。

「買い物終わったらゲーセン行こうねー。」

その時、眠っていた記憶が甦った。

「そうだ!私には相棒がいた!」

ぺこ太郎の元へと駆け寄る。

そして。

「さ、帰るよ。」

友隣に首輪をはめて、四つん這いにさせた。

「何であたし!」

「帰ろう、ぱこ太郎。」

「名前うろ覚えだし!」

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