18
「それでさ~ラミィ先輩が~、え?何飲んでるの?これは水の水割りだよ。お酒じゃないよ。水の水割りって何?...何だ?」
配信中に生まれたその疑問を解消すべく、遮音は楽阿弥を連れて水の水割りを探しにアマゾンの秘境へ足を踏み入れた。
「水の起源はマヤ文明にあり!」
「まーた遮音様ったらトンデモ陰謀論を。」
「ん!何か見えてきた!」
「アステカ遺跡だ!本で見たことがある!」
「クンクン。あそこから水の水割りの臭いがするわ!よーし!探検よ!」
中に入った二人を待ち構えていたのは。
「いらっしゃい。」
出迎えた伝電。アステカ遺跡の中は美容室になっていた。
「ここは一体。」
「床屋だよー。」
「美容室じゃないんだ。」
「髪型はどうする?ロケットか月かサンボボボンバか。」
「それほんとに髪型!?あとサンボボボンバって何!」
その時。
「エイホーエイホー!」
謎の声が響いてきた。
「まずい!部族が来たわ!走って!」
「部族って?」
「この一帯を縄張りにしている鶏の一族よ!」
「鶏!鶏がなんぼのもんじゃい!いくぞ楽阿弥!」
「がってん!」
しかし二人の前に現れたのはヘリコプターの大軍だった。
「え...。鶏は?」
「気を付けて!部族はヘリコプターで襲ってくるわ!」
「もう見えとるわ!って、ん?」
ヘリコプターの腹に銃が付いている。
「武装しとるやんけ!」
「あいつらは鳥頭だから気分で撃ってくるわ。」
「無法地帯か!」
「普段はミミズで買収してるけど、今は切らしてるの。」
「じゃあどうすれば!」
「ブーメランさえあれば...。」
「ママ!新しい顔よ!」
店の奥から友隣が走ってきた。伝電の頭を抱き抱えている。
「ありがてぇ!このヨーヨーがあれば!」
ぶん!と投げると、曲線を描きながら飛んでいった頭は次々とヘリコプターを破壊し、一掃した。
「や、やりすぎでは...。」
楽阿弥の額から汗が流れ落ちた。
「やっちまった...。」
「ママ、今やっちまったって...。」
「ミスっ太郎ヤッチング舞子。」
伝電はペロッと舌を出した。
「可愛く言っても駄目!」
と言いつつも、可愛いからいいかと思う楽阿弥であった。
「鶏達の死を無駄にしない為にも水の水割りを絶対に見付けよう!さ、行くわよ楽阿弥!」
「おー!」
遺跡の深部に潜った四人は宝箱を発見した。
「宝箱だ!開けろ楽阿弥!」
「自分で開けろよ!ったく。」
開けると中には宝の地図らしき紙が一枚だけ入っていた。
楽阿弥の手から奪い取る遮音。その紙に書かれた文字を読み上げた。
「水の水割りはただの水です。井戸水でも汲んでろ。」