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ぎゅいーん!
「ミキサーに替えてみたけど、調子いいね。」
惚莇は上機嫌でコップにフルーツジュースを注ぐ。
「次はリンゴとバナナとブドウで試してみるか。」
ぎゅいーん!
「ぎゅいーん!バリバリバリ!」
「何?遮音ちゃん。」
「バリバリバリ!」
「だから何!」
ミキサーを止める。
「...。」
遮音も止まった。
ぎゅいーん!
「ぎゅいーん!バリバリバリ!」
ピコーン!
「お!いいところに新型ミキサーがあるじゃねぇか!」
遮音の口にフルーツを放り込んだ。
その頃、胃の中では。
「わ!見ろメロン!友隣先輩!新しいのが流れてきた!」
「ラミィちゃん、仕事中は私語厳禁だよ。」
「そうそう、工場長に見付かったら注意されるんだからね!」
「へいへい。黙って皮むきします。」
黙々と作業する三人。
しかし。
「あー!」
「わ!何だよメロン。」
「友隣先輩がブドウをポケットに入れた!」
「え!そ、そんなことしてないよ。」
「怪しい。」
詰め寄る癒論。
しかし、ラミィは歯牙にもかけない。
「先輩母子家庭だからな。」
「でも...。」
そこへ、茶黄が回転するダンベルに乗って現れた。その手にはビール瓶が握られている。
「かーっ!下っ端に朝から晩まで働かせて飲む酒は美味いなー!」
作業台から適当にフルーツを取り、口に入れた。
「工場長!何してるんですか!」
「うんにゃ?ああ、お前らもちょっとぐらい食べていいぞ。バレへんバレへん。余った材料でジュース作ってもわからんて。」
バリバリバリ!
遮音の口からミックスジュースの入った瓶が飛び出した。
「量が少ないな。」
不審に思い中を凝視する。
「ん?何か異物が。」
更に目を凝らし、その正体を看破した。
「退職願だこれ!」