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コンビニへやってきた友隣は棚からカード入りのウエハースを手に取り、レジで精算した。
店の外へ出て開封する。
「ママのカード当たるかな~。ああ、遮音か。また明日買うか。」
そこへ、惚莇横を通り過ぎて店に入った。売り場のウエハースを箱ごとレジへ持っていく。
「在庫、何カートンありますか。」
「あー、確かあと二箱だけ。」
「二箱か。ま、いいか。それも下さい。」
「まいどありー。」
商品を鉄腕に入れて出てきた。
「大人買いだー!きっとウエハースは捨ててるんだよ!」
と指差すと、
「ウエハースは近所の子供に配っているよ。」
「あ、そうなんだ。意外にいい奴。」
友隣は痛感した。この世の中で最も強い力は資産だと。
「友隣ちゃん、買い物は終わった?」
待っていた伝電が歩み寄った。
「あたし、お金が欲しい!」
「あらあら、今月のお小遣いなら」
「そうじゃなくて、お金の稼ぎ方を知りたいの!」
伝電は困った。資産を増やすには元手となる資産を転がすのが一番良い。しかし、投資で全財産を失うリスクもある。
悩んだ末に。
「じゃあ、こうしましょう。」
伝電はATMに一万円を預けた。
一万円札になった友隣は二枚に分裂した。
「おはー。」
「何で!」
「知らないの?これが信用創造よ。お金は誰かに貸せば増えていくの。」
「なるほど!だったらお金を貸しまくるぞー!」
こうして友隣は増えていった。
「見て見て一億円だよ一億円!アハハハハ!」
「そう。偉いわね。」
伝電はそのお金を浴槽に放り込み、自らも入った。
「札束の風呂って一度やってみたかったのよね。ほっほっ!愉快じゃ愉快じゃ!」