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砂浜の少年  作者: 春待
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 それからしばらく、私たちは口を閉ざしていた。

 「もう帰ったほうがいいよ。」

 そう言われて気がつくと、あたりはすっかり暗くなっていた。早く帰らなければ夕食に間に合わない。よく今まで気がつかなかったものだ。

 「次が最後のバスだから。」

 朝陽に誘われバス停に向かう。バス停の横に二人で並んで立って、一緒に星空を眺めた。あまり綺麗ではなかったけれど、久しぶりに見た夜の空に私は感嘆の声を漏らした。

 「気が向いたら、また来てもいいからね。」

 バスに乗る直前、朝陽にそう言われた。それを聞いて、私はまた来てもいいかという気になった。私は朝陽の言葉に頷くと、バスに乗り、一番後ろの席に腰を下ろした。バックからスマホを取り出すと、ホーム画面に両親からの着信履歴が表示される。メッセージも届いているようだ。私はその数に驚いた。そんなに心配をかけていただろうか。とりあえず母に電話をかける。母はすぐに電話に出て、慌てた声で現在位置を聞いてきた。駅名を答え謝ると、母はため息をつきながらこれからはきちんと連絡を入れるようにと注意した。それに返事をして電話を切る。

 朝陽の言葉を頭の中で反芻する。

 『自分のことをそんな風に言っちゃいけない。自分の心を傷つけるのはやめるんだ。』

 何を言っているのかよくわからなかった。私は自分を傷つけていたわけじゃない。当たり前のことを言っただけだ。しかしなぜか、朝陽の言葉が頭から離れない。

 私は私の心を傷つけているのだろうか。

 他人である朝陽が言うならそうなのかもしれない。自分を客観的に見るというのはなかなかできないものだ。

 私はそこから考えることをやめた。今日は慣れないことをして疲れた。これ以上頭を働かせる体力は残っていなかった。早く家に帰って寝よう。

 家に帰ると、両親に今日はどこで何をしていたのかと遠慮がちに質問された。私はただ、「海を見ていた。」と答えた。不思議な少年に出会ったことは黙っておいた。話す気にはなれなかったのだ。

 夕食を食べて風呂に入り、ベッドにもぐりこむ。

 『そもそも普通なんて存在しないんだよ。』

 朝陽の言葉が頭の中を巡る。

 「…そんなことわかってるよ。」

 布団の中で丸くなった。考える間もなくすぐに眠気が襲ってきて、私は目を閉じてしまった。

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