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2話

私がお父様について行くとそこは、大木の大きな枝だった。


大きく広がった枝は、葉っぱが生い茂っていた。


「フィル、いつも私の真似をして翼を羽ばたかせているだろう?やってみてごらん。」


お父様がそう言った。


なんだ、バレてたのか。


私はバレてたのがちょっと恥ずかしくて、黙り込みながら懸命に羽ばたかせてみる。


だけど、私の体が宙に浮くことはなかった。


「おとうさま、なんでとべないの?」


私は困ったときのお父様頼みで聞いてみる。


「フィルに足りないのは、力だよ。翼の羽ばたき方はよかったよ。もう一度やってごらん。」


お父様は、私にアドバイスをくれる。


ほめられた。


うれしい。


私はついつい嬉しくなって、思いっきり翼をパタパタさせた。


ふわり。


ほんのちょっと、それも一瞬だけど、私の体が宙に浮いた。


「ふぁぁぁ!!みた!?みた!?」


私は興奮してお父様に詰め寄った。


「見てたよ。すごいね。……それじゃあ、翼を羽ばたかせながら近い枝に飛び移ってごらん。」


私は、こくり、と頷いてお父様の言う通りに手身近な枝に翼をパタパタさせて飛び移った。


それも難なくやれる。


「上手だね。私の時は怖くてやれなかったものだけど。」


「ねぇねぇ、おとうさま。これなんでやるの?なんていうの?」


私は、お父様のドクハク(お父様が心の声を漏らすことだといった。)に気付かないフリをして聞く。


「それは、翼渡(よくと)っていうんだよ。飛ぶ訓練する子がまず初めにやるんだ。飛ぶための力をつけるんだよ。」


「次は?」


私はワクワクしながら、お父様に聞く。


「次も近いえだに飛び移ってごらん。なるべく速く連続で。それを何回もやるんだ。」


私は、何回も何回も近くの枝に飛び移る。


翼をパタパタと羽ばたかせて、素速く連続で。


私は楽しくなって、ちょっと遠くの枝に飛び移ったり、お父様のいる所から行くまでに複雑なふうにいったり、上の方にある枝に飛び移ったりもした。


お父様は、にこにこしていて様々な翼渡をする私を止める様子もないから、ついついやりすぎた。


私、未来の女王様なのに。


「フィル。おいで。初日でそこまでできるから、もう一段上の訓練に移ろうか。」


お父様はそういって、私を呼びよせる。


「まだやりたいのに。」


私が不貞腐れると、お父様は声を上げて笑った。


どうしたんだろう。


私が疑問に思って、こてん、と首を傾げた。


「フィル。早く飛べるようになりたいだろう?」


お父様の言葉に私は、ハッとさせられた。


そうそう。


遊んでるんじゃなかった。


ついつい楽しくてやりこんじゃった。


本当にどうしよう。


これで、未来の女王様やっていけるかな?


私の心配をよそに、お父様はゆったりと歩いていってしまう。


私はあわてて、お父様を追いかけた。


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