プロローグ
昔々、ヴァルレ・リーラ、と呼ばれる世界に竜が作り、竜が治る国があった。
ヴァルレ・リーラの竜が作った国の名は、ヴァルキーラ。
ヴァルキーラは森の中の、背の高い木々の中にある。
竜の巨体を覆い隠すことの出来る程、高い木々は竜たちの格好の隠れ家となった。
その森の名こそがヴァルキーラである。
狩られ、数の少なくなった竜たちは秘境と呼ばれるヴァルキーラの森へと逃げ込んだのが、竜の国、ヴァルキーラの始まりあった。
ヴァルキーラの森は世界の始まりから存在する秘境中の秘境、大秘境といっていい場所である。
当然、そんな場所なので、竜たちの外敵から逃げ延びることができたのだった。
そこから、竜の国、ヴァルキーラは発展していったのだ。
そんなヴァルキーラには、齢35歳になる竜の王女がいた。
竜の平均的な寿命は、数千歳。
個体差はあれど、それぐらいが平均である。
そのため、竜の王女はまだ若い部類に入っていた。
竜の王女はお転婆で、よく王族の住処を抜け出しては、大人たちをハラハラさせた。
ヴァルキーラが竜の国だといっても、人間たちの造るような国ではない。
森の木々に手を加えただけの住処であった。
ヴァルキーラの王族も王族という名がついてはいるが、群れのボスのような立ち位置である。
他の獣と違うのは、血統で個体の強さが決まっていることと高い知能であった。
王族の血統は、始祖より濃く受け継がれていて、他の竜に比べて数千年長く生きた。
「みんな、あーそーぼっ!!」
これは、始祖の力を受け継ぎ、歴代の王族の中でも最も強い力を持つと言われるようになる竜の女王の話である。