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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ショートショート集

殺意の着信音

作者: 宮本摩月

 君は『殺意』イコール非日常的感情だと考えているだろうが、それは間違っている。

 普段我々が感じている『怒り』や『軽いむかつき』『苛立ち』といった日常的な感情の根幹は『殺意』なのだよ。

 食物連鎖という残酷な掟に適応し進化した我々は潜在意識レベルでは、常に殺意を放散し、殺意に取り囲まれて生活しているというわけだ。

 携帯を操作するのをやめて私の話を聞きなさい。君の隣のおとなしそうな坊やも迷惑そうな顔をしているじゃないか。

 坊やに絡むのはやめたまえ。ほら震えてるじゃないか。

 君にとっての携帯電話と同じくらい身近な存在。それが『殺意』だ。携帯電話が突然着信するように、殺意もいつ沸き上がるかわからないのだよ。

 今、電車内で携帯電話を操作している君は殺意の渦中にあることを自覚したほうがいいね。

 携帯の着信音が多様であるように、殺意が沸き上がったときも様々な音を発するのだよ。

 たとえば、あの斜め向かいの老人は咳払いをしている。あの青年は舌打ちをしたね。こちらを睨み付けている、あの御婦人たちは何やら囁きあっている。あるいは、私の説教もそうだ。

 殺意は様々な着信音を発して君を取り巻いているのだよ。

 君、いいかげん坊やにからむのはよしたまえ。可哀相に、震えがとまらなくなっているじゃないか。

 あっ、坊や。ナイフなんかしまいなさい!

 ……やってしまったか。

 震えてる段階で気付くべきだった。坊やの殺意はマナーモードだったのだね。


《終》

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 坊やにからんでいるシーンのが描写されていないので、なぜ坊やにからむのか、その坊やの年齢とかがわからず、臨場感がでていないのが、モノローグ小説の欠点なのかな。
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