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「----只今入ってきたニュースです」

つけていたテレビから、

神妙そうな面持ちをしたニュースキャスターが

唐突にそう告げた。

「まあ、なにかしらねぇ」

母は朝ごはんの用意をしながらつぶやく。

「はは、また事件でも起こったんじゃないのか

この前もほら、あったろ、殺人事件」

読んでいる新聞に目を通しながら適当に父が言う。

その言葉に母は不謹慎よ。といいながら食器をだした。

「嘘だよ、嘘、なんだろうな」

少し部が悪そうに父は言葉を濁した。

「さあね」

私もは適当に受け流した。

「先ほど、午前6時頃に東野市三丁目で遺体が発見されました。

遺体は女性と見られており...」

ニュースキャスターの告げる内容に父は新聞から目を離し

テレビの方をみつめる。

「おいおい、本当か」

「あなたがそんなこと言ったからよ」

母がそんなことをいいながらこちらへくる。

机に朝食が置かれた 。

「死亡推定時刻は今日の1時ほどと考えられています」

「おいしそ、いただきます 」

ぱちんと手のひらを合わせ朝食に手をつけた。

「お、大変だ、遅刻する」

父は時計をバッと見るとそういい、立ち上がった。

「ちょっと、朝食は?」母がじろりとみつめる。

「食べます食べます」

へこへこと頭を下げさっと机についた父は

目にも止まらぬ速さでご飯を頬張り始めた。

卵焼きをぶっ刺し、味噌汁を流し込む。

そして付け合せにあった漬物を口に放り込むと即座に立ち上がり

バタバタと出ていってしまった。

「んもう、まったく」

母は父が食べ終えた朝食の食器類を重ねあげ流しに放った。

「あんなに一気に食べて、喉にでもつまらせたりしたら...」

「子供じゃないんだし、大丈夫でしょ」

冗談半分に母にツッコミを入れる。

「あんたよりよっぽど心配なのよ...」

呆れたように言い放ち、机につくと、「いただきます」といい食べ始めた。

「今回の遺体も体の一部が持ち去られており、

犯行の手口から警察は同一人物が犯人の可能性があるとみて

連続殺人事件として葛城連続殺人事件対策本部を立ち上げたとのことです」

「連続殺人事件」

「ん?そうね。さ、食べちゃいなさい」

ポツリとつぶやいた言葉に母は答え、促した。

「わかってる、おいしい」

恐ろしいくらい。とっても。


今回の事件...もとい、葛城連続殺人事件。

起こったのはかれこれ3ヶ月も前になるだろうか。

最初は25歳のOLさんだった。

土砂降りの雨の中に無惨にも置き去りにされていた死体は

場所の条件が悪く、人通りが少なかったためか

一日たって発見させたらしい。

それはそれは赤黒い夥しい量の血が出ていたのだが

それも雨で殆ど流されてしまっていたというのが警察の調べだった。

次は30代の主婦。

彼女もまた雨の日、路地裏で殺害されていた。

近所に住むおばあさんが発見し、通報したらしい。

心臓を抉りとるが如く深く深くナイフを突き刺したあとがあったのだった。

3人目は女子大学生。

テニスサークルに所属していた彼女は飲み会の帰りに

酔ってしまい道で寝ていたらしい。

そこでこれまた酔っ払ったサラリーマンに呼びかけられ目を覚まし

別れ際にそのサラリーマンの目の前で

真っ赤な鮮血が雨粒とともに地面に飛び散り滴った。

サラリーマンは気を失い、死体とともに発見されたらしい。

そのサラリーマンが言うには犯人は男。

レインコートを着ていて、包丁を携えていたらしい。

そして、この一連の事件が連続殺人事件といわれる一番の理由。

それは

雨。

ソレと

遺体の一部が、切断され持ち去られていたこと。


「ごちそうさまでした、おかあさん」

とっても美味しかったよ。

それに、

とっても楽しみ。

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