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ぼくのおよめさん

ぼくのおよめさんになってください!

作者: アラタ

初めての短編です。

少しでもおもしろいと感じてもらえたら嬉しいです!!



「お姉さん!これ、読んでください!」


朝、通学途中に突然渡された手紙。

送り主は黒いランドセルを背負った、まだ小学生の男の子。毎朝会う、目がクリッと大きな天使のように愛らしい子だ。


いつも、はにかんだ笑みで手を振ってくれ、私も振り返す。それだけだったのに今日は違った。


電柱のかげからばっと飛び出し、トコトコと走って来たかと思うとさっきのセリフ。


そして顔を赤らめ手紙を押し付けると、ガチャガチャとランドセルを揺らしながら、道の向こうへ走って行ってしまった。


えっ!ちょっと待って!!そう言いかけた時、信号がちょうど赤に変わり、車が動き始める。

仕方なく追いかけるのは諦め、ピンク色の封筒から取り出し、手紙を開いた。




おねえさんへ


まいにち、おねえさんをみてました。

かわいいとことかぜんぶがすきです!


ぼくのおよめさんになってください!


ゆびわはぼくがつくったよ。

きにいりましたか?



2ねん2くみ かわもり しょうより



そう拙い文字で書かれていた。特に、ぼくのおよめさんになってください!の所はでかでかと書かれていて、一生懸命に書いている様子が想像でき、思わず微笑んでしまう。

そして確かに封筒にはピンクのビーズで作られた可愛らしい指輪が入っていた。サイズが小さくて、小指にピッタリ。まるで前からつけていたように指にスッと馴染んだ。


どうしよう。こんなものもらったけど、何も返さないのも気が引けるし...。しばらく、考えて思いついた。

あっそうだ!私も代わりに指輪を作って渡そう!

そしたら、あの子も喜ぶだろうし!




次の日。

思い付きで作った、色違いのビーズの指輪を渡すと文字通り、飛び上がって喜び、とろけそうな笑顔で何度もお礼を言われた。


そして、名前を聞かれ、ぼくとお姉さんはこれで結婚だよね?と嬉しそうに尋ねられた。


さすがにこれは流したらダメかな?と、まだ小学生だからねぇ。と答えておいた。すると、じゃあお姉ちゃんは高校生だからもうできるの?と聞き返される。

私は2月生まれで15歳だからまだなんだよね。みんなより1つ幼いんです。その旨を伝える。


「じゃあお姉さん!ぼくが高校生になったら結婚してくれる?」


期待いっぱいのキラキラとした目で見つめられる、断れるはずもなく。その頃でも私を好きだったらね。と答えておく。そんな先まで好きな訳がないしいつかあきるだろうとの軽い考えで。


だって想像できるはずがない。


本当に高校生になるまで飽きないなんて。






「梨花っ!!合格した!第一志望のとこ!」



「本当?おめでとう!!県内1の進学校でしょ?すごいなぁ」


翔は本当に嬉しいようで、顔がだらしなくにやけている。顔も赤らんで、そわそわと落ち着きもない。この1年、本当に頑張っていたからなぁ。よっぽど行きたかったんだろうな。


でも真っ先に私の家に駆け込んでくるなんて。昔から変わってないなと思わず苦笑する。

あの日から何度も会って、お互いに家に行き来して、家庭教師をしたりしているうちに、家族ぐるみで仲良しになって。まさか、今ではこんな風になってるなんて本当に不思議。


「梨花?なに笑ってんの?」


「ん?ちょっと昔のこと思い出して。」


「昔のことって...!!っ!!あっ大丈夫っ」


突然あたふたと慌てだし、顔を赤らめる翔。

どうしたんだろう?翔?どうしたの?そう尋ねようとした時、不意に真剣な目をした翔に見つめられドキっとする。

やだ、なにときめいてるんだ、私。8歳も年下の子に。


「梨花...。オレと結婚しよう。」


「ふええっ!?けっ結婚!?」



突然の驚きの発言に変な声が出る。

にしても結婚って。


「しょ翔?8歳も年上なんだよ私。第一まだ高校生だし結婚できないよ?」


私が必死の思いでそう言うと、はぁ~とため息をつき、ガシガシと頭をかき、こちらに向き直った。


「オレは8歳年上なんてもっと前から知ってるって。それでもずっと前から、梨花だけが好きなんだ。」


それに。とさらに言葉を紡ぐ。


「確かに今は結婚できないけど、付き合うことくらいはできるし、結婚の約束だって行けるだろう?」


そこで一拍おき、穏やかな表情でこう言った。


「梨花。好きだ。オレとずっと一緒にいてくれ。」



知らぬ間にぼろぼろと涙がこぼれ始める。


「いいの?8歳年上だよ?高校で彼女できるんじゃないの?もっと若くて可愛い子、いっぱいいるんだよ。なのに私でいいの?」


「あたり前だろ?オレには梨花しかいないから。梨花は?オレじゃいや?」


ぎゅっと翔にしがみつき、ふるふると頭を振る。それでも涙はとまらなくって。


「っそんな訳ない!私もっ翔のこと、好きだよ...っ!!」


ずっと前から気づいていた思い。

言っちゃダメ。迷惑をかけるだけ。そう抑えてばかりいた思い。やっと言えた。

あの日のことは翔は、とっくに忘れてるって思ってたのに。



「梨花っ!!ありがとう!オレ今、すっげえ嬉しい!」


ぎゅっと抱きしめられる。うるさいくらいにバクバクしているけれど、それさえも心地よいと思えるほど。


「私も。幸せ。」


私もきゅうと抱きつき、その幸せに浸った。しばらくして、涙が収まってきた頃、あっ!と翔が何かを思いついたように言い、私を引き剥がす。


「へっ?翔?」


「まだあれ、行ってなかったなぁと思って。」


あれって何だろ。思いつかない。しかも今、言わないとダメなことだよね?うーん?


不思議に思っていると、翔はうやうやしくお辞儀をし、ゆったりと微笑む。


「ぼくのおよめさんになってください!」


そうしてこちらに手を差しのべる。


翔も覚えていてくれたんだ!あの日のことを。

もう何度も見直して、くしゃくしゃになってしまったあの手紙の言葉を。



返事はもちろん決まってる。というか1つしかありえない!


「はい!!」


満たされた思いでいっぱいになり、翔の胸に飛び込む。



これからもよろしくね?


私のおむこさん!



最後までありがとうございました!


誤字脱字の報告、感想など待っています。

してくださると、とっても喜びます!!


それから、ブックマーク登録や評価をしてくださった方ありがとうございます!


「ぼくのはつこい」というこの番外編もあるので、よかったら読んで見てください!

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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろかったです! 小学生と高校生という年齢差に驚きましたが、楽しく読めました! [一言] よかったら続編、希望します。
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