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一年目 十二月

 1日


 昨日、ミス・メーメエが疲れていた理由が判明した。どうも糸紡ぎの最中にルーイが姫君に求婚した時の話題になったらしい。そこから例の楽士殿の話題も出たとわざわざ耳に入れてくれる者がいた。当時は気にしていなかったが、今となっては……

 余計なことを気にしている自覚はある。だが、ミス・メーメエはどう思っているのだろう。当時の彼女の思いは状況からして明らかだが、今現在ミス・メーメエがどのような感情を抱いているのか、考えずにはいられない。



 7日


 決して不機嫌なわけではなく、単純に不思議に思っていただけなのだが、誤解されているような気がする。

 ここ数日ミス・メーメエから故郷の笑い話らしきものや子羊様との微妙なダンスなどを披露されているのだが、その理由が不明だ。それがますます不思議で見入ってしまっていたのを、どうやら彼女には不機嫌だと思われているのではないかと考え始めた。確かに例の楽士殿のことを思い出してから気分が沈みがちではあったが、もしかしてそれを気にしてくれているのか。これでは本末転倒だ。私は態度を改めるべきなのだろうか。

 いや、やはり、笑ってやれば良いのだろう。ルーイが姫君の他愛のない話に笑っているように……とても出来る気はしないが。



 12日


 ルッテラに相談するなどという事態に陥った。どうしてこうなったのか自分でもわからないが、ミス・メーメエは優しそうな人間が好きなのだと言われた。……優しそう。少なくとも私のような人間のことではない。ルッテラは笑っているだけだったが、やはり私は

 後ろ向きなことばかりを考えていても仕方がない。少なくともそういった人物像に近づけるように努力はするべきなのだろう。もしもこの思いを成就させるつもりがあるなら(以下の部分は削除されている)



 14日


 ミス・メーメエ本人もやはり優しい人間が好きなのだと言っていた。理想は姫君らしい。私とは真逆の人物像だ。



 17日


 どうも気分が上昇しない日々が続いている。仕事や周囲に影響が出ないうちに通常の状態に戻したいのだが、原因がわからず、対処のしようがない。

 いや、いつまでも己の感情に振り回されているわけにはいかない。自身の未熟さを真摯に受け止め、精進するべきだ。



 23日


 呼び方について、ミス・メーメエから指摘された。他人行儀、なのだろうか。しかし、やはり名前で呼ぶのは(以前驚かれてしまったこともあるが)馴れ馴れしすぎるのではないかという危惧がぬぐえない。

 いや、でももしミス・メーメエが希望するのであれば、努力はしたい、とは思う。



 29日


 私はミス・メーメエの名誉を傷つけてしまったのかもしれない。確認ミスが重なった結果とは言え、一晩男女が共に過ごしてしまったことに変わりはない。

 ルーイにも協力してもらってミス・メーメエの名誉を守ることはできたとは思うのだが、数日経過しないことには結果はわからない。もしも不穏な噂が立つようなら、私が責任を

 いや、このような形で彼女に望まぬ結婚を強いることなどあってはならない。やましい気持ちがあったのは私だけだ。何としても、被害を最小限に食い止めなければ。


 今回のようなことが二度と起こらないよう、対応を考えなければならないのだが、徹夜もたたって頭が働かない。


[今後するべきこと]

・乾燥室の施錠の際の確認事項について考える

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