1話
短期集中して書きたい。と思ったけど立て込んでることにいま気が付いた
「馬鹿な奴は目にも移したくないし、同じ空気さえ吸いたくもないな」
そんな暴言を吐いてもその人気を衰えささない素敵なお方、それが私の恋するお方なのです。
宰相としての地位につきその地位の名を落とさない仕事ぶり。
国内にとどまらず外交さえも難なくやってのける、いわばエリート中とエリート。
そして彼は頭脳明晰なだけにとどまらず、なんといっても眉目秀麗…周囲の女性の恋人から結婚相手としてそれはもう引く手あまた。
黒い髪にミステリアスな紫の瞳、文官にしては引き締まった身体
素敵すぎる…
彼には内緒で小さな紙に彼の姿を描いたものがファンの間では取引されるほどの人気ぶり。
けど彼は上記の発言どおり「馬鹿」が嫌いです。
それを裏付けるように彼の歴代の恋人は綺麗なうえにそれはそれはデキル女でした。
人気高き彼の名はバート・エフェルド様なのです。
そんなバート様に恋をしている私は愛しい方も今日も今日とて私は遠くから眺めているのです。
おおっと私の紹介が遅くなりました。
私はコロニー伯爵家の一人娘としてそれはそれは蝶よ花よと育てられた愛娘のユウナです。
まぁ自慢ではありませんが人から見ても自負もしておりますが私は美人です。
自分で言うなって?それでも言わせてください。私の唯一人に誇れる部分ですから!
ゆるくカールした金髪とかつて社交界の花と呼ばれた母と同様の容姿を手に入れている私は男性からちやほやされた経験は何度もあります。
まぁ、最初だけですけど…
けど皆さまは不思議に思われるかもしれませんね。
そんな私がなぜバート様に近づかないかって…察しのいい方はお気づきでしょう。
私、「馬鹿」なのです。
幼いころから教養として勉学はいたしました。
…さっぱりです。理解できない。人には適材適所があります。
私は容姿以外なかったようです。
難しい話を聞けば一瞬で眠ってしまうし、ダンスだっておけいこ事だって何一つ人並みにこなせない。
男性とも話をしていてもついていけないことが多々、ダンス中には足を踏むはいいとこなし。
気が付いたら黙って座っていれば理想の女性だと男性からの評価を頂いているこの私があの方に近づけるはずがない。
だから今日も遠くからその姿を拝むだけで私は幸せなのです。
そんな私のごく平凡な日常が壊れるのはその日の夕方のこと。
お父様が笑ってこういったのです。
「婚約者が決まったよ」