お題:冬、道路、カレー タイトル:星空の下
途中からシチューの話になってますが気にしないで下さい
夜八時。冬の十度を下回る気温の中、寒空の下でカレーを食っていた。決してここは山奥のキャンプ場などではない。自分が住んでいるアパート前の道路上でだ。
なぜこんなことになったかといえば「彼女に追いだされたから」である。
夕食のカレーライスを食べながら彼女と「シチューを御飯にかけて食べるか」について討論をした。なぜカレーを食いながらシチューの話になったかに関してツッコミを入れてはいけない。
まあとにかく。
相手を論破できなければ罰ゲームとして夜の十時まで部屋に入れないというルールを設けた結果がこれだ。出ていく際、夕食のカレーライスを持ち出そうとしたときなぜか彼女に「ライスだけは置いて行け」と言われ、ルーのみをよそった皿を持っていくことになった。
とにかくここは寒い。屋外だし。冬だし。夜だし。カレーの温もりも徐々に失われてきた。早く食べよう。
そうしてカレールーを食べ終わった頃に彼女はやってきた。まだ十時にはなっていないはずだ。
「どうした?」
「ええっとね……」
彼女は下を向いてもじもじしていた。どうしたのだろうか。
「出て行ったあとシチュー作って御飯にかけてみたらね……おいしかった。だからやっぱり私の負け」
そういえばウチには二人分きっかりの白米しか残っておらずそれを今日炊いたのだった。だから俺に米を置いて行けって言ったのか。
「じゃあ私立ってるから戻っていいよ」
「いやもういい。二人で飯食おうぜ」
「……ごめん。ありがとう」
こうして暖かい自分たちの部屋に戻った。