act.0
瞼を閉じる。
小さな少女が、一人泣いている。
暗闇の中で。
毎日、毎日、泣いている。
親のような存在は消えてしまった。
優しくて強くて素敵な人だったあの人は。
私を残して消えてしまった。
だから寂しくて、いつも一人で泣いていた。
傍らには人形。
あの人が残してくれた、人形。
人形を抱きかかえ、泣き続けた。
涙が枯れた頃には、もう、決断していた。
人形を造ることを。
この人形たちを生きていくことを。
それからいくつも人形を造り。
失敗ばかりして傷だらけの手は、もうぼろぼろで。
水に触れると痛くて何もできないほどだったけど。
彼女たちは、私を一人にはしなかった。
傍にいてくれた。
そして私は一つの夢を描いた。
自分の意志で行動する、そんな素敵な人形を造ろう、と。
人間も妖怪もそんな区別すら関係ない。
友達を、作ろう、と。
でも。
あの日の私は泣き続ける。
金色の瞳で、私を捕まえて。
今日もまた、浮かび上がる。
「ほら、もう大丈夫だよ」
私は初めて、抱きしめた。
泣き続ける女の子を。
いつかの自分を。
泣かなくてもいいんだよ。
君の友達はその手の中にいるんだから。
だから。
少しだけ、貸してね。
あの日の力を。
その黄金色の力を。
七色の魔法使いとして。




